ゼネコン設計部よりひとこと #0034

専門家の生き道 個か、組織か ~ゼネコン設計部よりひとこと #0034

ゼネコン設計部よりひとこと #0034

#0034 ゼネコン設計部よりひとこと

はじめまして。私は、某T中工務店(ほとんどおわかりですね、ドームでおなじみの)の設計部に籍を置く、一介の建築家(スミマセン、そう呼ばれたい!)です。

さて、T中工務店が作ってる建物って、世間的、または建築ジャーナリズム的にはアカデミックな”建築作品”として認識されているようですが、最近つくずく疑問をおぼえるようになってきたのと、偶然にも”ばかけんちく探偵団”に出会ってしまったのが運のツキ。”ばか”の趣旨に賛同する一人としてすこし意見を言わせて下さい。

芸術家になりたかったのになれなかった、アトリエ建築家のような強烈な個性もない、でもなんとなくアカデミック(クリエイティブ)な仕事をしたい、経済的に安定していて世間体もいい、そんな”ぬるま湯集団”という言葉こそがゼネコン設計部を言い表すにふさわしいと思いませんか?

ぬるま湯集団は建築雑誌を飾る、カッコイイ作品をパクるのが大好き。カッコイイ作品は、えてして技術的に問題があるのでそれを伝統の技でうまくリカバリーし、”社会に貢献する”作品として世に出す。

内容の伴わない空虚なコンセプト(この言葉もなんか嫌いだ)で武装し、”社会に貢献”しているよといってはばからない、そんな我々の作る建築ってまさに”ばかけんちく”そのものではないか?(了解済かも)

私は”ばかけんちく”でなく、”おばかけんちく”を目指したい。”ばか”と”おばか”の、たった一文字の違いがこの際重要だ。すっとぼけているようで、眼差しはどこか愛に満ちた、(本来の)子供のように純粋に生きまくるであろう”おばかけんちく”をこれから考えていきたいと思います。

長くなってしまいましたが、これを機会に私も”探偵団”に入れて下さい。
(ところで古井さん、何者なんですか?)

『一介の建築家(スミマセン、そう呼ばれたい!)』という台詞が好きでした。
まったく匿名になってない、『T中工務店』も印象的。

「芸術家になりたかったのになれなかった、アトリエ建築家のような強烈な個性もない、でもなんとなくアカデミック(クリエイティブ)な仕事をしたい、経済的に安定していて世間体もいい、そんな”ぬるま湯集団”という言葉こそがゼネコン設計部を言い表すにふさわしいと思いませんか?」

今のT中さんはどうか知りませんが、このつぶやきは味わい深いです。

ところで、建築に限らず、医療でも、経済でも、専門職の生き道は千差万別で、フリーで活躍する人もあれば、大企業の組織力に上手くマッチする人もあり、「フリーだから偉い」「組織に属しているから、自我がない」という事は決してありません。むしろ、組織に属しながらも、個性を失わずにいる方が、一人で仕事するより難しい部分もあるのではないでしょうか。

そこで重要なのが「適性」で、己の適性を知っているということは、「どの会社が待遇がいいか」という条件より、もっと重要です。

何故なら、我の強い人がトップダウンの大きな組織で働くのは無理があるし、逆に、組織のルールに沿って働いた方が精神的に安定する人もあるからです。

もちろん、好待遇にまさるものは無いかもしれませんが、やり甲斐がお金で買えないのもまた事実で、100万円と20万円ほどの差額があるならともかく、ほんの数万の違いなら、己の適性により則した形で働くのが幸福への近道ではないでしょうか。

建築にしても、アトリエ派が絶対的に優秀で、ゼネコン設計士は社畜・・とかいうことはありませんし、大きな組織で、良質な仕事をする設計士がいるから、巨大建造物も安全に維持できるのもまた事実。そこは、各々、誇りをもって欲しいところです。そんでもって、組織力の中には、「個を活かす」という使命も含まれているんですよね。

ゼネコン設計部よりひとこと #0034

『ばかけんちく談話室』は、1995-2007年にかけて、古井亮太氏が運営されていた『ばかけんちく探偵団』に設置されていた掲示板です。詳細は「ばかけんちく談話室について」をお読みください。
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