MENU
恋と生き方のエッセー、子育てコラムは移転しましたsanmarie*com

他人の感想をコントロールすることはできない 自由とファシズム #0097

#0097 かっこうわるい建物

○○さん、毎回メールありがとうございます。

>これは、写真で見る限りそうとう「いって」ますねぇ。
>実物を見てないので実感はわかないのですが、間違いなくいえることは
>(もちろん写真からの判断ですが)「かっこうわるい」ということですね。

私が第一印象で思ったのは、やはり「ぶかっこう」、それから「倒れてきそう」「部品が取れて落っこちてこないのかな?」、そして何より「子供向け?」ですね。「あぁ、子どもが喜びそやな。」という感じ。子供なら、逆に「うー!、これ超カッチョいい~!」とか言ってくれそうな気がします(笑)。

デパートの屋上なんかにある、中がトランポリンになってるでっかいロボットとか怪獣のフーセン。後楽園遊園地の「ナントカレンジャー・ショー」の舞台セット。こういうものに似たニュアンスを感じました。

当然、設計した人は「ガンダム」とか「子供向け」を意識したワケじゃないんでしょうが。僕らは、そう思ってしまうんだからしょうがない。

>格好の良し悪しは人それぞれの感性にもよりますが、

「あるデザインから何を連想するか」のギャップが問題ですよね。「作り手の思惑」と「受け手の直感的連想」が違っちゃう。これはもう年齢差とか知識とか経験の違いですから、どうしようもない。「ヘンなガンダム」に見えるものを、「そういうふうに見るな!」といわれても、それはムリだし。

こういう「受け手の直感的連想」を、作り手の側がどれだけ意識しているのかが、すごく知りたいところです。「ガンダム」ならまだいいほうで、「うんこみたーい」とか「おしりみたーい」とかいう、シモネタへ連想がつながる建物や屋外アートって、結構多いと思います。

それが作家にとって「予想外のリアクション」で、しかもそう思われるのがすごく心外なのだとしたら、受け手を信用し過ぎなのでは。誰もがみんな、作家にとっての「好意的な解釈」をしてくれるはずがありません。

そういう意味で、「ガンダム専門学校」は、建築のデザインについて、問題を提起しているという点では、すごく意味のある「ばかけんちく」だと思います。まさに設計の学校の校舎にふさわしい、とさえ言えるでしょう。

#0069で、ぢゃいあんさんが、

>市民の無関心がばかけんちくを野放しにしていると言えるかもしれませんが、
>それ以上に、建築教育関係者の責任は大きいように思われます。

と言われていましたが、この校舎にはこういう問題が凝縮されているのでは。

ただ、作った人が「問題提起」を考えて作ったかどうかが大きな問題ですが。単に「やりたい放題やった結果」なら、がっかりです。逆に、僕らが作り手を信用し過ぎてた、ってとこでしょう。
更に言えば、「問題提起」を考えていようがいまいが、周りの住民がこれを迷惑に思っているなら話は全然別ですね。

「~ 人の迷惑顧みず、やってきましたばかけんちく ~」(声:伊東四郎)じゃ、やっぱりダメでしょうね。

自由とファシズムは紙一重

早い話、『他人の感想を自分の狙い通りにコントロールすることはできない』ということですね。

どんな作り手も、「作品に込められたメッセージを理解して欲しい」「この作品は○○へのオマージュだと気付いて欲しい」等々、受け手に様々な期待を寄せながら作品を作ります。色形を褒められるより、作品に込めた想いや動機を理解される方がはるかに嬉しいんですね。

しかし、いつの時代も、物事が正しく理解されるとは限らないし、萌え絵のように、描き手に何の下心もなくても、卑猥に感じる人は少なからずあります。

作り手が「こういう風に見て欲しい」とお願いしても、受け手の快・不快を完全にコントロールすることはできないんですね。

問題は、『正しく理解されない』ことよりも、『理解されなかった時、作り手と受け手はどう振る舞うべきか』で、表現の適性をジャッジし始めたらキリがありません。政治闘争のプロパガンダみたいに、明らかに悪意が込められているならともかく、造形に正しいも間違いもないからです。

その中で、「ガンダムみたい」という印象を抱く人があっても、それはそれ、作り手が「ガンダムなんて言うな」と怒っても仕方がない。

作品なんてものは、世に出した瞬間から、好きに弄ばれるのが宿命で、誰にもコントロールすることはできません。

逆に、コントロールすることができないから、誰でも自由に創作できるのです。

もし、誰かが「表現とはこうあるべき」と規制し始めたら、それこそファシズムの始まりですから。

だとしても、自由な表現=やりたい放題とは限らないし、大多数が迷惑と感じるなら、自由では済まされないでしょう。

どこまでを許容し、どこからが問題なのか、線引きは難しいでしすが、少なくとも、作り手が公共性を意識することで、防げる問題はたくさんあると思います。

『自由』を傘に開き直ってしまえば、それもまた自由という名のファシズムに違いありませんから。

かっこうわるい建物 #0097

ばかけんちく談話室について

『ばかけんちく談話室』は、1995-2007年にかけて古井亮太氏が運営されていた『ばかけんちく探偵団』に設置されていた掲示板です。 詳細は「ばかけんちく談話室について」をお読みください。
目次
閉じる