なぜ公共建築はディズニーランド化するのか #0103

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#103 名古屋を含む中部圏の秘密

そう、名古屋です。

あれ、あまり有りませんか? ばか建築物件。ばか・オブジェは結構多いと自負(笑)してますが。なんでも「金鯱」を付けてしまう名古屋は、そこはかとない「ばかエキス」が充満していますので、平均点が高すぎて突出したものが目に付きにくいかもしれません。ちなみにわが町岡崎では郷土の偉人徳川家康にちなんで、なんでも「葵の御紋」です。すごいです。「I Love Ieyasu」です。その紋所を無理矢理目に突っ込まれます。いつかきちんとご報告させていただきます。

私、偶然にも今、「偽装するニッポン 公共建築のディズニーランダゼイション」(中川理・彰国社刊)という本を読んでいます。この本は「大名古屋の近代建築」というサイトで紹介されていて、ばか建築探偵団の諸兄はすでにご存じの方も多いと思います。
この本はばか建築な公共の建造物(ヤンキー系)をうなるほど紹介していて身の毛のよだつ面白さですが、キーワードは「ディズニーランド」です。

私が考えますに、名古屋はここまでは行っていない、名古屋(を含む中部圏)の建築は「博覧会パビリオン型」とでも申しましょうか、あの「世界都市博」の「機械の体をタダでくれる寒い未来」のありさまを体現しているような気がします。

だから「無個性」なのです。しかし、その類では宝庫でもあります。

私は仕事柄ちょっと名指しでは言いかねますが、美術系の建築物(笑)ではばか建築あると思いますよ>名古屋。

しかし、名古屋の広小路通りに点々とあるあの「金鯱」付きの紫色のポール、あれは一体何なんでしょう?すごく変です。すごく悪趣味です。音楽も流れてきます。あれも、「デザイン博」の落としだねなんでしょうか?建築ではないですが、「金鯱」そのものの遊覧船とかもありますよね。名古屋地区限定ビール「でらうま」のテレビのコマーシャルでも星野仙一のバックに登場したりして有名です。それから東名高速で名古屋インターで降りると、料金所ではかわいい「鯱」がお出迎えしてくれます。嬉しいです。しみじみ思うのは、中部地区では「オブジェ系」の方がパワフルです。「ディズニーランド」ではなく「タイガーバームガーデン」なのです。

そう言ええば、名古屋から岐阜に向かう「名岐バイパス」も「ヤンキー系ばかオブジェ街道」ですよね。最近フィールドワークをしている知人に聞いたところ、愛知県は歴史的に「細工人形」の伝統があって、有名なところでは「菊人形」ですが、そういう不思議な細工人形の伝統が暴走して「タイガーバームガーデン」をあちこちに出現させている、という話もあるらしいです。「タイガーバームガーデン」系は私にはまだ

>「うわっ、カッコ悪う...でもいい、うん。(声:ともさか)」(古井さん)

と微笑むことが出来ますが、「機械の体をタダでくれる寒い未来」には

>「何をするか! 馬鹿者!」(古井さん)

と感じます。そして、中部圏には後者も多い。私達の住環境に未来はあるのか、とちょっと考えてしまうのです。「こんな未来でよかったら」と「博覧会パビリオン型」を差し出されても、私はNoと言いたいです。そんなもん、いらんわい!

「ヤンキー化する公共の建造物」「公共建築のディズニーランド化」というのは妙を得ていますね。
テーマパークでも、ゆるキャラでも、一つ当たれば、我も我もと似たようなものが後に続くもの。
そうそう流行から離れて、一から新しいものを創ることなど出来ません。
創ろうとしても、「今は、そういうの、ウケないから」と反対されることもあるでしょう。
革新的なことを試みて派手に失敗するよりは、似たようなものを作って、惰性で客を呼び寄せた方がいい。
そして、お客の方も、新しい施設やサービスにのこのこ出掛けるよりは、あらかじめ予想がつくような、似たような場所に行く方が安心感があります。
惰性が惰性を呼び、全てが定型化、固定化していく。
それが公共建築のディズニーランド化の本質かもしれませんね。

あと、基本的に、日本で受けやすいのは、「美しいもの」「偉大なもの」より、「オモロイもの」という特徴も大きいでしょう。
同じメーカーのTVコマーシャルも、海外の放送局では、『スタイリッシュな映像+美男美女+ドラマチック』な演出が大半ですが、日本版になると、効果音が入ったり、吹き出しが入ったり、「なんですか、これは~~」「すっごぉぉぉぉぉぉ~い!!」「課長、今がお得で~す。ガガ~ン」みたいなアニメ調が多いです。
ポスターや店の看板なども同様。
うっかりアール・デコ調みたいなものを取り入れたら、「なに気取ってんだ」と言われ、漫画チックなもので妥協するしかない。
それはそれで商業的に正しいのかもしれませんが、いざ世界に出て行る時に足枷にならないか心配です。
あまりに感性が違い過ぎるので。(「こどもの国」と「大人の国」ぐらい差異がある)

いや、このゴチャゴチャした、オモロイ感じが日本の魅力なんだと言われたら、それまでですが、そこで開き直るのも、停滞や孤立の一因だと思うのですよ。
同じ三猿でも、『見ない、聞かない、言わない』の方は、世界が閉じてしまいますからね。
(配慮や賢知の結果として、あえて見ない、聞かない、言わないとは異なる)

なぜ公共建築はディズニーランド化するのか #0103

この記事を書いた人

石田 朋子のアバター 石田 朋子 サイト管理人

作家・文芸愛好家。80年代サブカルチャーの大ファン。普段はぼーっとしたおかあさんです。昭和の名作漫画はほとんど空で台詞が言えるほどの元祖ヲタ。車と猫が大好きな東欧在住。サイトでは作品紹介ではなく、作品を題材とした文芸コラムを掲載しています。

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