扇動政治家は祖国を内紛へと誘導する時、最も力を発揮する『水を打つ漁師』イソップ寓話集より

漁師が川で漁りしていた。まず、流れの両側に差し渡して網を張っておき、紐にくくりつけた石で水を打った。不意をつかれて逃げる魚が、網にかかるという寸法だ。
ところが、これを見ていた近所の住民が、川を濁し、澄みきった水を飲めなくするものだ、と文句を言うので、漁師は答えて、
「しかし、こうやって川をかきまぜないと、俺さまが飢え死にせにゃならん」
このように国の場合でも、扇動政治家は祖国を内紛へと誘導する時、最も力を発揮するのだ。

イソップ寓話集(岩波文庫)

昔、ジョン・レノンが歌っていた。「すべての人々が平和に暮らしている姿を想像してみよう」と。

でも、そんな日は永遠に来ないことを私たちは知っている。

人間が愚かだから、ではなく、平和になったら困る人たちが少なからず存在するからだ。

絶えず争いの種を蒔き、動乱の影で漁夫の利を得るものがいる。

私たちは、さながら網にかかった魚のように、バタバタと藻掻くだけ。

運悪く網に捕らえられたら死ぬしかないし、たとえ網から逃れても、川が汚れては生き延びようがない。

では、どうするか。

どんな時も、本物の敵を見抜くこと。

混乱を栄養にして肥え太るものに注意を払うこと。

慌てて、さざ波を大きくしないこと。

もともと、平和とは退屈なもの。

そんな平和に倦まないこと。

 イソップ寓話集 (岩波文庫) (文庫)
 著者  イソップ (著), 哲郎, 中務 (翻訳)
 定価  ¥1,122
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シンガーソングライターの小椋佳は定年まで銀行員を勤め上げた。
人の心に触れる曲を作るには、人間社会との関わりが不可欠であることを知っていたからだ。
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