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エイリアン コヴェナント

映画『エイリアン・コヴェナント』 怒りのデス・ロード

エイリアン コヴェナント

皆さん、怒ってらっしゃるようですね。

私もです。

夕べ、視聴して、愕然としました。

そして、思い付いたレビューのタイトルが『エイリアン・コヴェナント ~怒りのデス・ロード』。

参考にAmazonのレビューも拝見しましたが、付いてる、付いてる、一つ星、(^_^)。

皆、私と同じ。80年代から温め続けたエイリアンの世界観を、よりによって生みの親であるリドリー・スコット監督にぶち壊された怒りと悲しみ……。

だから言ってるの。オリジナル原理主義者だって。ブレードランナーの続編も、スターウォーズ新・新・三部作も見る予定もないし、見たくもない。

ブレードランナーに関しては、デッカードがレイチェルを伴って、愛の逃避行に出掛けた時点で終わったし(オレたちだって、いつまで生きられるかどうか分からないんだ、のテーマ通り)、スターウォーズに関しては、ルークとダース・ベイダーが最後に解り合えた時点で、私とルークの物語も、ジョージ・ルーカスの父子の葛藤も、終わったんだよ。続きは要らない。作る必要もない。あれで完璧に物語を締めくくったのだから、何を今更付け足すことがあるのか、やって、せいぜい、LEGOアニメか、まったく別のレプリカントと捜査官を主人公にした、まったく別のストーリーではないか。たとえば、ブレードランナーの生みの親で、遺伝子工学の技術者J・F・セバスチャンが、いよいよ試作を完成させ、世に送り出そうとした時、その機密を盗み出そうとする産業スパイと、その危険性に気付きながらも機密を守ろうとする助手の主人公と、倫理観を問う経済産業省のエリート姉ちゃんとの、三つ巴バトル+恋愛がらみのストーリーとかなら、いいよ(ラスト、『レプリカントの機密を武器商人から守ることはできた。だが、我々は、本当にこのようなレプリカントを生み出してよかったのか……という自問で終わる)。でもな、逃避行に出掛けたデッカードを現実に連れ戻すようなことはして欲しくない。たとえハリソン・フォードに頼まれたとしても、断って欲しい。デッカードの物語は、あの時点で、完璧にに終わったのだから。

そんな訳で、エイリアン新三部作も『プロメテウス』で嫌な予感がし、コヴェナントの予告編で確信となり、こわいもの見たさで視聴したら、案の定。

いつからエイリアンはモンスターパニック映画になったのだ? アンドロイドに創造された? ちーがーうーだーろー!!

怒りが言葉にならないので、その理由を列記したいと思います。

参考記事 → 映画『エイリアン』の生殖とエロティシズム

映像は手段であって、目的ではない

世の多くの観客はそうだと思うけど、観客は、物語を見に来ているのであって、映像そのものを評価する為に来ているのではないんのだ。

もちろん、それが目的の業界関係者もあるだろう。その道のプロが見たら、歯ぎしりするような特撮や美しい映像を作りだすのも、制作の醍醐味かもしれない。

だが、『凄い映像』だけ期待するなら、テーマ・パークの3Dシアターで十分。劇場に足を運ぶ一般の観客は、心を揺さぶられたい思いで来るのだから、それに応えないと。

たとえば、『マトリックス』のOPは、今では、コンピューティングの代名詞的存在である。

通常、左から右に横書きされるソースコードが、上から下にすだれのように流れ、書かれた文字は日本語のアレンジ。アイデアの出所は、押井守の『攻殻機動隊』だが、得も言われず不気味で、斬新で、底知れないコンピューティングの世界観を上手に象徴していたと思う。

MATRIX オープニング

だが、それも『Free your mind』をテーマとした、技術と哲学が融合したような物語があったからこそで、この絵だけ繰り返し流れても、見ている方には何も伝わってこないだろう。

有名なこの特撮だって、それまでの過程……IT企業のぼんくら社員で、自分の住んでいる世界を疑いもしないネオが、モフィアスの導きによって覚醒し、超人的なスキルを身につけるまでのプロセスが分かりやすく描かれているから、「ネオはこんな事も出来るようになったんだ。free your mind や」と納得するわけで、突然、見て見て! と、こんな映像ばかり繋ぎ合わせても、何の感動も残らないだろう。

MATRIX アクション

エイリアン・プロメテウスも、エイリアン・コヴェナントも、映像は綺麗だし、アクションも派手だけど、物語が面白ければ、観客はこのレベルでも十分に納得するんだよ。

エイリアン

コンピュータ・ルームも、当時としては、これが精一杯の最先端だったと思うが、それが作品に大きな影響を及ぼしているとは思えない。
その後に続くクルーの悲劇やエイリアンの不気味さは、かちゃかちゃキーボードにはるかに勝るし。

エイリアン

エイリアン

淡々と文字列だけが弾き出されるモニターも、むしろ「人間様をバカにしやっがって」感が満載で、マザーコンピュータの無慈悲が如実に表れているではないか。

エイリアン

コヴェナントの地下室の美術も不気味なクリーチャーの模型も、「らしいな」とは思うけど、何故これらが作られたのか、巨人族はどうなったのか、納得のゆく理由がないから、ただの映像で終わってる。

エイリアン

エイリアン

やっぱ、第一作の「君たちには同情するよ」の、この絶望感。作りはB級っぽいかもしれないけれど、「ええええー、この人、アンドロイドだったの??」の衝撃+もうどこにも逃げ場はない、死刑宣告のような残酷さに比べたら、アンドロイドのデイヴィッドがやってる事なんて稚技に等しいわ!!

エイリアン

絶望もしなければ、恐怖も感じない、以前より狂暴化したエイリアンが『13日の金曜日』みたいにクルーを襲いまくる話の中で、派手なアクションや、斬新なビジュアルを見せられても、観客の心はピクリとも動かないと思うよ。実際、どの場面が心に残ったか、明瞭に覚えてないし。エイリアンの場合、どの場面に、どんな台詞があったか、ぱしっと思い出せるけれども。

『エイリアン』とは何なのか

エイリアンとは人間の悪夢――恐怖、疑念、絶望、死といった、暗黒を具象化したもの。

突然、クルーの腹を食い破って、にゅる~と出てくる不気味さ。これ、頭部をひねりながら生まれるのが、人間の胎児にそっくりなんですよね。

エイリアン

そんでもって、このニュルニュル、ベトベト感。この異常に膨らんだ後頭部は、いったい何なんだ?

エイリアン

エイリアン

こんなクリーチャー、誰も見たことがなかった。キングコングやE・Tや火星人は想定の範囲内だけれども、エイリアンは、今まで誰も思いつきもしなかったし、考えようともしなかった。まさに存在自体が映像美であり、芸術なのだ。
しかも、第一作ではほとんど全身が映らなくて、部分部分だけが強調され、見る側にはいったい何が襲いかかってくるのか想像もつかないだけに恐怖も増大。それも、暗がりの中、バックライトやフラッシュライトに照らされ、おぼろげに浮かび上がる演出が秀逸だった。凄いCGやアクションをしなくても、光とスモークと人形と水だけで、これだけの恐怖を作り出せたのだ。

リドリー・スコット監督にしてみれば、『エイリアンがどこから来たのか』というのは、生涯かけて解き明かしたいテーマなのだろう。(最初にそこまでの意図があったかどうかは分からないけども)

しかし、どこから来たのか、どうやって作られたのか、観客には一切謎でも一向に構わない。もちろん、納得いく理由を提示してもらえれば、それにこしたことはないけれど、分からなくても、少しも感動は変わらない。なぜって、『存在そのものが謎』という了解の上に楽しんでいるからだ。

どこかの惑星で、異様な進化を遂げた生き物――でいいじゃないか。

現に、気持ちの悪い生物は、この地球上にもいっぱいいる。

ゴキブリ、ヒル、ナメクジ、ゴカイ、はてはインフルエンザにエンテロバクター・アエロゲネスまで。

誰かが意図的に作りだしたか? 何の為に存在するのか?

彼らもまた神の意思なのか。

そんなはずがない。

彼らは同じように一つの細胞から進化し、それぞれに必要があって、気味の悪い外見や機能を手に入れた。

ゴキブリも、エンテロバクターも、存在しなくても、人類社会や地球全体に何の影響もないかもしれない。

だけども、遺伝子の力により、彼らは自然に生まれ、自然に現在の姿になった。

そこに神の意思も、企図もなく、彼らはただ生きるために存在している。

それが何の為に作られ、どんな意味があるのか、突き詰めて考えだしたら、人間など到底生きてはおれないだろう。99%は100年のうちに忘れ去られ、記録も、財産も、何も残らないのだから。

エイリアンもそれで構わない。『どこかの惑星で異様な進化を遂げた、未知の生物』で十分に納得する。

だって、観客がエイリアンを通して見ているのは、自身の内なる恐怖であり、この世の得体の知れない暗黒の力や、抗いがたい運命なのだから。

どう始末をつけてくれるのか

そんなわけで、リドリー・スコット監督は、新三部作をどう収束するつもりなのだろう。

この際、ジェームズ・キャメロンにメガホンを渡して、3Dエイリアンでもやってもらうか? 

いやいや、ここはやはり御大の手で始末をつけてもらいたい。

なぜって、それでもリドリー・スコット監督に期待してるし、彼と共に歩んだ人生だからだ。彼の作品は、ほとんど見てるし、今でもエイリアンやブレードランナーには感謝してるよ。リアルタイムで体験できて、本当に幸せだった。

だから、今後は新しい脚本スタッフを迎えて、最初から練り直して欲しい。鷹宮紫織を発狂させて、ついに収拾のつかなくなった『ガラスの仮面』みたいなって欲しくない。

きっとこの場面に納得いくオチを付けたいのだと思うけど、それなら遺伝子工学より、進化論の方がいいんじゃないかな、って。

エイリアン

細菌もまた日々進化する

これは余談。

なぜに『エンテロバクター・アエロゲネス』かというと、私も院内感染でキャリアになった経験があるからだよ(T.T) グラム陰性菌ってやつ。当時の主任に「あんたは看護婦の恥」と嫌みを言われて、毎日、鼻の穴にイソジン塗ってたけど、まさか自分がキャリアになるとは夢にも思わなかっただけに、すごいショックだった。

今では多くの人が知っていると思うけど、細菌も日に日に進化して、だんだん抗生物質も効かなくなるんだよね。Aが効いたと思ったら、必ずそれに対抗して、Bという新種が出てくる。細菌とはいえ、生き延びようとする本能は、人間より強い。奴らは自死することもなければ、絶望することもない。Aという薬に壊滅したら、自らの機能を変えて、必ず生き延びる術を探し出す。だから、地球の海がドロドロの湯船みたいだった時代も、全球凍結で全てが死に絶えたような時代も、じっと生きながらえて、この世に植物や、魚や、軟体動物など、多種多様な生物を送り出してきたのだ。

人間というと、『一つの身体に一つの心』というイメージがあるが、実体は、何十億だかの細胞の塊だし、心でさえ脳の電気信号に過ぎない。実際に生きる意思を有しているのは、心の方ではなく、ミトコンドリアだと思うし、人間がいかに強く生きようと志しても、ミトコンドリアが死ねば、肉体も死ぬ。その定めには抗えない。それほどに『細胞』というのは強靱だし、その影響力は、細菌も人間も変わらない。いわば「人間が生きる」のではなく、「ミトコンドリアの本能に突き動かされて」が正解。恋人を求めて生殖活動を行うのも、現実社会でより強い力を手に入れ、集団の中で優位に立とうとするのも、みなミトコンドリアが脳に命じた結果であり、いわば、わたしたちは皆、40億年の歳月を営々と生きながらえてきたDNAの奴隷なのだ。

では、なぜ生きるのか――と問われたら、それはDNAを存続させる為に他ならない。

子供の有無にかかわらず、人の行動は、必ず他者を生かす為にも使われる。田畑を耕したり、工場を操業したり、荷物を運んだり、薬を発明したり。

総じて見れば、人類というDNAの群れが生き延びることを求めているからだ。

現に、元はほぼ同じであって(アフリカの原始の母の説に基づけば)、会社経営者の田中さんも、運送屋の山田さんも、飲み屋の鈴木さんも、時を遡れば、どこかで一人の人間、一つの細胞に辿り着くではないか。

生命は道を探し出す スピルバーグの映画『ジュラシック・パーク』でも書いたように、生命とはそれほどに強靱で、猛々しい。どんな状況にあっても、存在そのものを目的に生き延びようとする。

一方、環境に合わせて、自在に変化する柔軟性も併せ持ち、その逞しさや狡猾さは人間の叡知を遙かに凌駕する。

『エイリアン1』のリプリー航海士のように、極限の絶望の最中にあっても、生き延びようとすれば、思いがけない知恵や強さを得られるし、柔軟なものほどストレスに強い。

生命の本質は『増殖』。

強さとは腕力ではなく、生き延びようとする柔軟さにある。

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エイリアンといえば、TVの吹替版も秀逸なんだよね。

私の一押しは、「エイリアン2」の、鈴木弘子=リプリー。地上派初の吹替版で、TBSの新春特番だったんだよね。
女戦士バスクェスの吹替が、山田栄子=岬太郎(キャプテン翼)で、「やっちまえ!!」とマシンガンをぶっ放すシーンが「日向小次郎に逆襲する岬太郎」みたいで、すごくシュールだったんだ。屋良有作のヒックス伍長もはまってたし、千田光男=ビショップの「なかなかやるね、人間も……」も良かった。吹替完全版はDVD業界の良心だと思うよ。どんどんやって欲しい。(個人的には、『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』のミッキー・ローク(安原義人)、ジョン・ローン(池田秀一)のゴールデンコンビを復刻して欲しい)

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↓ あんたは立たなくていいの。そもそも、エイリアンは猫背の設定だろ(–#)
エイリアン

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