荒井由実『雨の街を』 いつか、やさしく肩を抱いてくれる人に出会ったら

時代がどれほど変わって、女性が自由や力を得たとしても、きっと永遠に変わらないものがある。

それは、「女のコの気持ち」。

たとえば、ユーミンが歌う『雨の街を』の心象風景。

誰かやさしくわたしの肩を抱いてくれたら
どこまでも遠いところへ 歩いてゆけそう

「女のコの気持ち」というのは、ほんと、この一言に尽きる。

強がったり、突っ張ったり、出来る自分を主張して見せるけど、本当に欲しいのは誰かの限りない愛。

自分のことをホントに分かってくれて、いつも見守ってくれる人が世界にたった一人でもいたならば、それだけで幸せに生きて行けるのだ。

*

思えば、「女性」というのは、オギャアと生まれた時から、本当の意味での自分の「居場所」というのは持てないものだ。

子供~独身時代は「いつお嫁に行ってくれるの?」と無言の圧力をかけられ、年を重ねるほど、「実家」に居づらくなる(自分の家なのに)。

お嫁に行けば行ったで、「お前はこの家に嫁いできたのだから」と婚家の流儀を押しつけられ、我が親よりも夫親優先だ。

うるさい姑からやっと解放され、さあ人生仕切り直しと思った頃には、身体もすっかり言うことを聞かず、子供やその嫁からは、「後の始末、どうするの」と厄介者にされる。

『女、三界に家無し』というけれど、ほんとにそんなものだな、と。

生まれた家に暮らし続けることさえ許されない女の気持ち、男には絶対に分からないだろう。

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だから、愛よりも「力を欲しがる」のは当然だ。

愛は裏切られることもあるけれど、自分で得た力──能力、経済力、権力といったものには裏切られることがない。

「誰かにやさしく肩を抱いて欲しい」けれど、そこに人生を懸けたくない気持ちは、現代の女性なら誰でも一度は感じるものだと思う。

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だからといって、女は「女性」であることを止められるだろうか。

恐らく、多くの女にとって、その答えは「NO」のはずだ。

「女であること」は、「男が、男であること」より、単純ではない。

女は「人間」と「女性」と二つの人生を生きなければならない。

その身体の中心には、何十億年と受け継がれてきたDNAの使命がこの世で最も強い本能でもって「その時」を待ち構えている。

理屈でねじ伏せられるものではない。

ゆえに、女は、MANではなく、W=オッパイと、O=子宮をもったWOMANと呼ばれる。

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だから、時には、自然な「女のコの気持ち」に自分を委ね、素直に空白の部分を認めることも大切なのだ。

この曲は、そうした自然な気持ちを、優しく受けとめてくれる。

淋しさを口にすることは弱さの証ではないし、愛を求めることも恥ずかしいことじゃない。

だって、私たちは、自分の住処さえ持てない「女」じゃないの。

時には不安になって当然だ、って。

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いつか、やさしく、肩を抱いてくれる人に出会ったら、一人で淋しかった夜のことを話したい。

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そんな気持ちにさせてくれる名曲です♪

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世代を超えて聞き継がれるユーミンのデビューアルバム。
アコースティックでシンプルな作りがら、胸が痛くなるほど映像美にあふれ、彼女の歌に自分の青春を重ね見ない人はないのではないかと思う。
ほっとしたい時、優しい気持ちになりたい時に聞きたいアルバム。

この記事を書いた人

石田 朋子のアバター 石田 朋子 サイト管理人

作家・文芸愛好家。80年代サブカルチャーの大ファン。普段はぼーっとしたおかあさんです。昭和の名作漫画はほとんど空で台詞が言えるほどの元祖ヲタ。車と猫が大好きな東欧在住。サイトでは作品紹介ではなく、作品を題材とした文芸コラムを掲載しています。

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