寺山修司

『言葉で人を救えると思いますか』 #『質問』の答え

寺山修司
https://flyingquestions.tumblr.com/post/162512716055/言葉で人を救えると思いますか

医療福祉の現場に居ると、「世の中、金がすべて」と実感することしきりです。

「今すぐ死にたい」という人も、突き詰めれば、経済的困窮が最大の原因だったりする。病気の痛み苦しみよりも、「家賃が払えない」「貯金が底を突く」といった経済問題の方がはるかに深刻で、はるかに心を病むのです。

そんな病人に慰めや励ましの言葉をかけたところで、何の救いにもなりません。

必要なのは、ゆっくり体を休める場所。少額でも安定した収入。おいしいご飯。家事を手伝ってくれる人。

以前、安達祐実ちゃんのドラマで「同情するなら、お金をちょうだい!」という決め台詞があったけれど、まさにその通り。

救済とは常に具体的であるべき……というのが、医療福祉の現場における私の持論です。

一方で、人間というのは、とりあえず腹が満たされると、次は心の飢えが気になる。

今日食べる物に不足しなくても、とにかく誰かの同意が欲しい、慰めの言葉が聞きたい、これで間違いないと言って欲しい、etc。

時に空腹よりも激しい飢餓感をもって、他人の言葉を求め歩きます。

ただ一つ、食物と異なるのは、美味しいラーメンは誰にとっても美味しいけれど、言葉はそうではない、ということです。

受け手の心にそれを理解する知性と感性がなければ、どれほど価値のある言葉も馬耳東風、心の救いにはなりません。それどころか、敵と見誤り、いわゆる逆ギレする人も少なくありません。

言葉というのは、受け手と一体になって、初めて機能するものだと。

そういう意味で、言葉に期待するのも半分なら、救われるものも半分とういのが、私の率直な気持ちです。

寺山修司

本にも寿命があるならば、そこに綴られた言葉も一緒に死んでしまうのでしょうか?

こわいことです。消しゴム一つで消えてしまう人に じぶんの身柄をあずけるなんて

このフレーズが好きなのですけど、誰の目にも触れなければ、存在しないのも同じでしょう。

その時、言葉はどうなるの。

綴った人の想いは何処へ行くの。

私だけが知っていて、あの世に持って行くのは悲しすぎます。

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