シャイン ラフマニノフ ピアノ

登場人物に息を通わせる ~躍動感のある物語を書く為に

シャイン ラフマニノフ ピアノ

小説を書く上で一番大事なことは何か……と問われたら、登場人物と息を通わせることだと私は思う。

相手の声、相手の姿、仕草、趣味、口癖、生活習慣まで、リアルに感じられて初めて人物が説得力をもつ。

頭の中で書いているうちは、まだまだ薄っぺらい。

言葉も、行動も、嘘のように感じられる。

読み慣れた人なら、すぐに気付くだろう。

ああ、この人、頭の中だけで書いている。

会社で働いたこともなければ、失恋したこともない。

「美人は得だ」という世間一般のテンプレートに基づいて、どこかで見聞きした事をなぞっているだけだと。

そうならないように、何度でも、何度でも、人物を思い描く。

共に歩き、共に泣き、人物の感情が完全に自分のものになるまで。

ところが、だ。

たまに入れない人物が出てくる。

やること、なすこと、まったく共感できない、自分とはかけ離れた人物だ。

こう言うと怒り出す人もあるかもしれないけれど、私は殺人者の気持ちも分かるし、苛めの好きな人間に同調することもできる。

なぜなら、それらの感情は、私の中にもあるからだ。それらを恐れずに認め、極限まで引き出す。

その過程があればこそ、罪にも、怒りにも、説得力が生まれるのだ。

作家は人間の心に嘘を言っちゃあ、いけない。

もちろん、自分自身にも。

だからこそ、自分とはかけ離れた人物――たとえそれが善人であっても――ほんの一片でも同調できない部分があると、たちまち嘘っぽくなるんだな、一挙一動が。

さて。どうする、S君。

君は今、Aの親切に背を向けようとしている。

それは、とても自然な反応だ。

だって、君はずっと身分を隠して生きてきた。

信じられるものはお祖父さんとペットだけ。

どれほど優しくされても、ああ、そうですか、と単純に心を開けるわけがない。

かといって、無視もできない。

こんなにも温かな誰かの気遣いは生まれて初めてだからだ。

まずい、まずいぞ…… このままいったら、惚れちまう。

だから、何と返そう。君の親切に対して。

徹底的に無視するか、それとも突っかかるか。

そして、私が引っかかるのは、この彼の葛藤だ。

なぜなら、私が彼の立場なら、自分に親切にしてくれる人に対して、ここまで横柄かつ皮肉な態度は取らないからだ。

ゆえに、次の台詞が出てこない。

彼の気持ちや置かれた環境を一言で表す、閃くような比喩。あるいは嫌み。

この一言――

この場面にぴたりと当てはまる一言を求めて、しばし気晴らしに散歩する。

晩夏の木漏れ日が、彼と彼女の優しい一時を身近に感じさせてくれるような気がして。

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