涙を買う男

涙を買う男 

涙を買う男

僕の塩辛い涙を、貝殻に詰めて売りに出した。可愛い女の子の名前で。

買ったのは毛むくじゃらの男で、男には片足が無かった。

「俺はもうたいがいのことには傷つかない」と男は言った。

「だから、誰の、どんな涙でも、塩辛いと分かればそれでいいんだ」

男は僕に二千三百円を支払った。

僕はそのお金でロードショーに行った。

初稿 2005年1月6日

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