文学・思想・神話– category –
海外の古典を中心に、長編小説、詩集、文芸評論、寓話、絵画、建築など、お気に入りの作品を紹介しています。作品解説ではなく、作品を題材としたコラム集です。
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文学・思想・神話アーサー王伝説『シャロットの女』恋と孤独を恐れた処女姫
呪いをかけられ、高い塔に閉じ込められた乙女にとって、外界と繋ぐ唯一のものは鏡だった。ある日、その鏡に騎士ランスロットが写り、その麗しさに魅了された乙女は思わず外界を目にして「呪いが私にふりかかった」と叫ぶ。運命を覚った乙女は一隻の船に乗り込み、最後の歌をくちずさみながら、やがて息絶えてしまう……。 -
文学・思想・神話アルトゥール・ランボーの詩 と 映画『太陽と月に背いて』
もう一度 探し出したぞ。何を? 永遠を。それは、太陽と番った 海だ。待ち受けている魂よ、 一緒につぶやこうよ、空しい夜と烈火の昼の 切ない思いを。フランスの天才詩人ランボーの傑作と、ランボー&ポール・ヴェルレーヌの男色スキャンダルをテーマにした映画『太陽と月に背いて』の魅力を語る。 -
文学・思想・神話渡辺淳一の本当の名作 ~『無影灯』『愛人』『化身』『わたしの女神たち』etc
『失楽園』ブームがあまりに強烈だったため、渡辺淳一といえば「性愛小説家」というイメージがありますが、私は『女性に優しい作家』として読んでいます。特に過去のエッセイなど読んでいると、とにかく女性を見つめる眼が優しい。ブスと呼ばれる女性にも... -
文学・思想・神話三島由紀夫&美輪明宏『黒蜥蜴』妖艶と美麗の極致
ねえ、鏡のなかの紳士。明智ってすばらしいと思わない? そこらに沢山いる男とちがって、あの男だけが私にふさわしい。でも、これが恋だとしたら、明智に恋しているのはどの私なの? 返事をしないのね。それならいいわ。また明日、別の鏡に映る別の私に訊くとしましょう。じゃ、さよなら。 -
文学・思想・神話『生き続けろ、そうすれば分かってくる』 ゲーテの格言より
われわれには理解できないことが少なくない。生き続けて行け。きっとわかって来るだろう。生きることの意義を説くゲーテの名言より。 -
文学・思想・神話宮尾登美子『天璋院 篤姫』に見る女の生き方と心得
親に命じられるがままに嫁ぎ、嫁いでからは個よりも公として生きる。今よりもっと女性が縛られた時代、天璋院篤姫は自らの意思によって将軍を支え、幕府政治の未来を負う。一本芯の通った生き方は現代女性にも学ぶところが大きい。 -
文学・思想・神話『神は死んだ、俺たちが殺したのだ』ニーチェと愛の処方箋
「生の肯定」とは、ありのままの自分を認め、受け入れる所から始まります。貧乏なら貧乏、不器用なら不器用、その事実を自分の現実として、そっくり受け止め、そんな自分に「YES」というところから始まるのです。 -
文学・思想・神話早坂茂三の言葉「鈍牛にも角がある」「オヤジとわたし」
奇蹟の秘密は何か。政治音痴の日本人のなかで、角栄だけが政治を理解していたからである。人間洞察の深さにおいて桁違いであったからである。 -
文学・思想・神話饗庭孝男『フランス 四季と愛の詩』 詩と写真で感じる大人の絵本
フランス文学の評論で著名な饗庭孝男氏の名著(絶版)から「恋する女の存在の不安は、たえず相矛盾する極から極へ移ることから生じる。愛は生から死へ、歓喜から涙へ、苦しみから安らぎへ、至福から絶望へと絶えず詩人を揺り動かし、片時も休むことがない」等の抜粋と、フランス語の原文とフランスの美しい風景写真から構成される本の一部を写真付きで紹介。 -
文学・思想・神話石井 光太『絶対貧困』苦しみを比較してもなあ・・
絶対貧困―世界人口約67億人のうち、1日をわずか1ドル以下で暮らす人々が12億人もいるという。だが、「貧しさ」はあまりにも画一的に語られてはいないか。スラムにも、悲惨な生活がある一方で、逞しく稼ぎ、恋愛をし、子供を産み育てる営みがある。アジア、... -
文学・思想・神話江戸川乱歩の『芋虫』~現代の老人介護を想う
眼の他には、何の意志を発表する器官をも持たない一人の人間が、じっと一つ所を見据えている様子は、こんな真夜中などには、ふと彼女に不気味な感じを与えた。どうせ鈍くなった頭だとは思いながらも、このような極端な不具者の頭の中には、彼女たちとは違った、もっと別の世界が開けているのかもしれない。彼は今その別世界を、ああしてさまよっているのかも知れない。などと考えると、ぞっとした。 -
文学・思想・神話青春と革命は相性がいい 三好徹『チェ・ゲバラ伝』より
「裕福なアルゼンチンの家に生まれ、喘息というハンディすらもつあなたが、なぜキューバやボリビアの為に命を懸けて革命運動を?」完全燃焼したゲバラの人生と「なぜ青春と革命は相性がいいか」を説く、三好徹氏の良書。