文学・思想・神話– category –
海外の古典を中心に、長編小説、詩集、文芸評論、寓話、絵画、建築など、お気に入りの作品を紹介しています。作品解説ではなく、作品を題材としたコラム集です。
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文学・思想・神話宮沢賢治『銀河鉄道の夜』と蠍の火 ~まことのみんなの幸のために
「どうしてわたしはわたしのからだを、だまっていたちにくれてやらなかったろう。そしたらいたちも一日生きのびたろうに。どうか神さま。私の心をごらんください、こんなにむなしく命をすてず、どうかこの次には、まことのみんなの幸のために私のからだをおつかいください」蠍の想いは燃えるような赤い星に昇華する。優しさと気高さがぎゅっと凝縮されたような名場面。 -
文学・思想・神話『ツァラトゥストラ』で読み解く ニーチェの『永劫回帰』と『生の哲学』
難解と言われるニーチェの『永劫回帰』も「海と太陽」に喩えれば分かりやすい。自己を肯定し、意思もって生きることの大切さを説いたニーチェの生の哲学の集大成を分かりやすく解説しています。 -
文学・思想・神話『シーシュポスの神話』と『まじめの罠』 努力が報われない時、どうするか
無益で希望のない労働ほど怖ろしい懲罰はない。アルベール・カミュの名著『シーシュポスの神話』と勝間和代氏の著作『まじめの罠』から考察する不条理に対する回答。結局「それでよし」としか言いようがない点に人智の限界を感じるというコラムです。 -
文学・思想・神話肉体の声に耳を傾け、自分に素直に生きる D・H・ロレンスの名作 『チャタレイ夫人の恋人』
自分の肉体のことに気がついた瞬間から、不幸というものが始まるのよ。だから文明というものが何かの役にたつならば、私たちが肉体を忘却することを手伝ってくれるものでなければなりませんわ。猥褻か芸術家で裁判沙汰にまでなったD・H・ロレンスの性愛小説。だが本質はありのままに生きることを謳った人生賛歌である。 -
文学・思想・神話絶望名人カフカの人生論 ネガティブすぎて笑っちゃう
今、非常に読んでみたい一冊。カフカは中学生の時「変身 (新潮文庫)」にトライしたけど、正直、ぜんぜん面白くなくて! まあ、中学生の読みこなせる小説じゃなかったんだろうけど、以来、ノータッチ。※ 時満ちて(?)読んだレビューはこちらです。疎外す... -
文学・思想・神話恋の詩 ヴェルレーヌ、アンデルセン、プレヴェール、他
恋というのは、感性の問題であって、本人の魅力うんぬんの問題ではありません。恋人がいようが、いよまいが、恋愛経験が豊富であろうが、なかろうが、人が人に恋する心情を理解できるか否かが重要なのです。プレヴェール、アポリネールなど、美しい恋の詩を紹介 -
文学・思想・神話三島由紀夫&美輪明宏『黒蜥蜴』妖艶と美麗の極致
ねえ、鏡のなかの紳士。明智ってすばらしいと思わない? そこらに沢山いる男とちがって、あの男だけが私にふさわしい。でも、これが恋だとしたら、明智に恋しているのはどの私なの? 返事をしないのね。それならいいわ。また明日、別の鏡に映る別の私に訊くとしましょう。じゃ、さよなら。 -
文学・思想・神話美輪明宏のおすすめ本 『愛の話 幸福の話』『強く生きるために』『地獄を極楽にする方法』など
厳しくも愛のこもった言葉で若い女性にも人気のある美輪明宏のの著書。代表作『愛の話 幸福の話』『地獄を極楽にする方法』『強く生きるために』『天声美語』『光をあなたに―美輪明宏の心麗相談』『人生ノート』『ああ正負の法則』『世なおしトークあれこれ』『乙女の教室』について内容紹介と感想を掲載。本選びの参考にどうぞ。 -
文学・思想・神話疎外する家族と厄介者の息子 グレーゴル・ザムザは本当に虫になったのか フランツ・カフカの傑作『変身』
ある朝、グレーゴル・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な虫に変わっているのを発見した。有名な書き出しから始まる奇怪な物語は家族に疎外されながら淡々と進んでいく。ニヒリズムを超えた写実的小説の傑作として語り継がれる本作は救いもなければ慈愛もない、人間のリアルを映し出す万華鏡のような作品でもある。 -
文学・思想・神話アルトゥール・ランボーの詩 と 映画『太陽と月に背いて』
もう一度 探し出したぞ。何を? 永遠を。それは、太陽と番った 海だ。待ち受けている魂よ、 一緒につぶやこうよ、空しい夜と烈火の昼の 切ない思いを。フランスの天才詩人ランボーの傑作と、ランボー&ポール・ヴェルレーヌの男色スキャンダルをテーマにした映画『太陽と月に背いて』の魅力を語る。 -
文学・思想・神話アーサー王伝説『シャロットの女』恋と孤独を恐れた処女姫
呪いをかけられ、高い塔に閉じ込められた乙女にとって、外界と繋ぐ唯一のものは鏡だった。ある日、その鏡に騎士ランスロットが写り、その麗しさに魅了された乙女は思わず外界を目にして「呪いが私にふりかかった」と叫ぶ。運命を覚った乙女は一隻の船に乗り込み、最後の歌をくちずさみながら、やがて息絶えてしまう……。 -
文学・思想・神話アルベール・カミュと自殺論 ~正論で人は救えるか
2000年の産経新聞に掲載された『10代の声』という投稿より。人間同士支え合い 自殺を減らそうー新聞販売店社員 男性 19歳ー8月18日付本紙朝刊で、自殺者が二年連続で3万人を超えたと報じられた。少なくとも私には自ら命を絶つことはできない。死ぬ勇気...