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キャラの書き分けのコツは人間観察 ~相手の心理を理解することから始めよう

なぜ、あなたの書くキャラは面白くないのか

キャラの書き分けが苦手な人は、根本的に、人間というものが、どういうものか、よく分かってないのだと思います。

たとえば、目の前で、ニコニコ笑っている女性がいるとします。

彼女の心中は・・

・ 本当は怒りたい気持ちを必死に抑えて、無理に笑っている
・ 先月、父親を亡くしたばかりだが、涙をこらえて、笑顔を浮かべている
・ 心の中では相手を馬鹿にしているが、悟られたくないので、お愛想笑いをしている
・ 何も考えずに、ヘラヘラ笑っているだけ
・ こんな会話にまったく興味ないが、相手に適当に合わせて、笑っている

等々。

一口に「笑い」といっても、いろんな笑いがあるし、大口開けて笑うのが好きな人もあれば、周りの目を気にして、控えめに笑う人もあります。

何でもかんでも、「彼はアハハと笑った」では、個性も、主張も無いし、そもそも、そこは本当に笑うべき場面なのか、納得いく理由と展開がなければ、読み手は違和感しか覚えないですよね。

どんな女子高生を描いても、将軍さまが登場しても、みな似たり寄ったり。

台詞も、これといった特徴がなく、会話文を見ただけでは、誰が、誰と喋っているのか、見当もつかないようでは、読み手もすぐに飽きて、本を閉じてしまいます。

台詞を見ただけで、「これは主人公のオレ様キャラ」「これは脇役の老人」「お嬢様らしい丁寧語」「このキャラなら、そう言うだろうな」という納得の展開がなければ、どれほど設定をこねくりまわしても、個性は出ません。

どんな姿形をしようと、ユニークなアイテムを手にしようと、中身はみな、明るいか、内気か、ぐらいしか、特徴がないからです。

同じ明るい人間でも、体育会系のバカと、苦労人の明るさは、まったく質が異なりますし、内気だからといって、皆が皆、小心で、控えめということはありません。内気な中にも、燃えるような闘志や復讐心を秘めた人もいます。

それを台詞や行動でどんどん掘り出していくのが小説の面白さであって、OLといえば、みな化粧して、華やか。将軍といえば、みな偉そうで、頑固。みたいなキャラ作りは、すぐに行き詰まります。

自分の職場を見回しても、やる気満々の上司もいれば、無責任な上司もいるように、人間はみな、千差万別。

どんな人の台詞、表情、行動にも、必ず動機(理由)があり、結果があります。

そこを緻密に書き分けてこその小説であって、人が読みたいのは、設定ではなく、キャラの行動であり、考え方なのです。

それには、何よりも、人間を知らなくてはいけません。

「OLって、こういうものだろう」「苦労とは、こういうものだろう」と頭の中で思い巡らせても、イメージや先入観だけで終わってしまいます。

見る目のある人なら、「こんなOLがおるか!」と、あなたの作品に、たちまち「嘘っぽさ」を感じるでしょう。

あるいは、「失恋して間もない女性が、こんな行動を取るわけがない」と違和感を覚えるかもしれません。

それが本当に納得いく理由であり、そういう価値観の持ち主であれば、失恋女性が突飛な行動をとっても「ああ、なるほど」と共感しますが、そこで人間心理が分かってないと、たちまち話が破綻して、「この作家、まともに恋愛したことないな」と見抜かれてしまうわけです。

社会人経験の浅い人が、社内政治のドラマを書いても、まったく説得力が無いのと同じです。

世の多くの人は、職場の理不尽や権力闘争の恐ろしさを身に染みてしっています。

たとえ、自分がそうした熾烈な環境に身を置いた経験がなくても、人間をよく知っていれば、部下をいびり倒す上司の心理も分かるし、同期を出し抜いて社長に取り入る野心的なサラリーマンのいやらしさも生々しく描くことができます。

読者というのは、あらゆる面で、書き手より勝っているところがあり、小説を書くということは、いわば、ベテラン教師に「数学の教え方」を説教するようなものと考えていいです。

バリバリの医療従事者から見れば、病院めの経験がない作家の書くお医者さんも、看護師も、どこか嘘っぽいものです。

にもかかわらず、山崎豊子の『白い巨塔』の財前先生みたいに、「おるおる、こういうヤツ!」と共感できるのは、作者が人間の野心や脆さをよく知っていて、キャラクターの台詞や表情に如実に表すことができるからですね。

このように、キャラクターの面白さは、設定(ユニークなアイテムや名前や外見)で決まるのではなく、人間性で決まります。

それも、納得いく行動、納得いく展開の中で、初めて生きてくるものです。

人間への理解が足りないと、何を書いても、みな似たり寄ったり、キャラにまったく感情移入できない、つまらない作品になってしまうのです。

人間観察力を高めるには接客業がおすすめ

本当に面白い小説を書きたければ、とにかく人と接して、観察することをおすすめします。

一番手軽なのは、接客業です。

販売、飲食、テーマパークの整理係、何でも構いません。

とにかく日常的に、いろんな種類の人間と接する場所に身を置くことをおすすめします。

ぺらぺらと饒舌に喋る必要はありません。

コンビニのバイトで、弁当を温めて、釣り金を渡すだけでも、「失礼な人」「上品な人」「恥ずかしがりの人」「怒りっぽい人」、いろんな人を目にすると思います。

それを頭の中にクリップして、相手の人間性や心理状態について考察するだけでも大きく違います。

漫然と人のやることを眺めて、「ムカつくー」とか言ってるだけでは、何の進歩もありません。

そういう「ムカつく相手」をとことんデフォルメして、敵役に配し、自作でコテンパンにやっつけるぐらいの度量を持ちましょう。

「私は人付き合いが苦手だからクリエイティブな仕事に向いている」のではなく、「人間が好きで、好きで、しょうがないから、クリエイティブな仕事ができる」が正解です。

社交性や話し上手の問題ではなく、どこまで人間に興味を持ち、自作の糧にできるか、の問題なんですね。

人間に興味もなく、理解もせず、頭の中だけで、美少女や悪徳将軍を描いたところで、何の面白みもありません。

何故なら、そんなキャラは、この世にごまんと存在するからです。

その点、スターウォーズのダース・ベイダーは、何故あんなにもSFファンの心を鷲掴みにしたのでしょうか。

変なマスクをかぶった、ユニークなキャラなら、スタートレックにも登場しますし、AVATARやエイリアンの世界観も独特です。

にもかかわらず、ダース・ベイダーが際立つのは、父親(あるいは善人)としての葛藤が見え隠れするからですね。

そして、それは、世のお父さん、かつて息子だった人たちにとって、非常に身近な心理であり、行動です。

ジョージ・ルーカスだって、宇宙戦士の経験はありません。

にもかかわらず、ハン・ソロやマスター・ヨーダが面白いのは、「おるおる、こういうヤツ」を描いているからです。

あなたの小説はどうでしょうか。

ちゃんと人間が描けているか、今一度、見直してみませんか。

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