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永遠の環 ~すべてのものは形を変えながら永遠に廻る(タイタニックの思い出付き)

永遠の環 ~すべてのものは形を変えながら永遠に廻る(タイタニックの思い出付き)

永遠の環 ~すべてのものは形を変えながら永遠に廻る(タイタニックの思い出付き)

ニーチェと永劫回帰

ニーチェの思想の主幹に『永劫回帰』があります。(参照 ツァラトゥストラはかく語りき

これが生だったのか。それなら、よしもう一度! 自己肯定と魂の幸福にも書いているように、『幸福』とは、この人生をもう一度生きてもいいと思えるほど、自分自身と自身の生を愛する気持ちです。それに似たもので、「もはや自分を恥じないこと」(悦ばしき知識)という表現もあります。
劣等感や虚無感を抱え、死にたいと願う人が多い中、心の底から「もう一度」と思える気持ちは、ある意味、最高に恵まれた、最高に幸せな人間の証かもしれません。

本作では、言葉の問題と学校での苛めから「死にたい」と嘆く息子のヴァルターに、ニーチェの永劫回帰の思想を説く父親のグンターが登場します。
もちろん、幼い息子に永劫回帰の意味など分かりません。
そこで、グンターは「永遠の環」という言葉に置き換え、たとえ人より劣っても、自分を好きでいる気持ちが大切だと説きます。

そうは言われても、ルサンチマンの塊で、父親の死後、激しい喪失感に陥るヴァルターにはなかなかその意味が理解できません。

何度も自滅の道に向かい、その度に、運に助けられます。

では、いつ、どのような形で、その意味に気づくのか。

それが後半のパートです。

【小説の抜粋】 すべてのものは形を変えながら永遠に廻る

採鉱プラットフォームの接続ミッションを前に、古参スタッフと意見が合わず、一人浮いてしまう潜水艇パイロットのヴァルターは、上司の愛娘リズと次第に心を通わせるようになる。

そんな中、アル・マクダエルをはじめとする上役一同がプラットフォームの視察にやって来る。気まずい雰囲気の中、上役の集まりを抜け出したリズは、潜水艇プロテウスの格納庫でヴァルターと鉢合わせる。

潜水艇の耐圧殻の中で、「夢の深海」を体験した後、採鉱プラットフォームのブリッジ最上階のヘリポートに足を運ぶ。

無限に広がる大海原を見つめながら、ヴァルターは父から教わった『永遠の環』のことを思い浮かべる。

前のエピソード → 想像力で深海に潜る ~有人潜水艇の耐圧殻で夢見る生命の世界

【第二章 採鉱プラットフォーム】 のシリーズ

このパートは海洋小説『曙光』(第二章・採鉱プラットフォーム)の抜粋です。詳しくは作品概要をご参照下さい。

【リファレンス】 洋上施設とヘリコプター

洋上施設のヘリポートは映画にもよく登場しますが、実際のランディングはこんな感じ。
一般人は、見ているだけで酔いそう。

洋上のプラットフォームでは、晴天ですら、ヘリコプターがこれほど揺れるのですから、荒天時はこうなります。
下手したら墜落→即死、スタッフも巻き込まれて、大惨事です。

上記には記載してませんが、娘のリズが「採鉱プラットフォームに見学に行きたい」と申し出て、周囲に強硬に反対される場面があります。

実際、機械のジャングルみたい。女の子が物見遊山でふらふら見学していい場所ではありません。非常に危険です。

【リファレンス】 タイタニック・フォーエバー !

世界に一大センセーションを巻き起こしたジェームズ・キャメロンのアクション・ドラマ大作『タイタニック』。

なんだかんだで、すでに世界同時公開から20年以上も経っており、当然、観たこともなければ聞いたこともない、という若年層もこれからどんどん増えていくのでしょう。

TVよりもYouTube、映画館よりもNetflixやHulu、マイケル・ジャクソンやホイットニー・ヒューストンも亡くなって、世界が一つのコンテンツを共有する体験も薄れてきた今の時代、公開当時のタイタニック・ブームがどれほど凄かったか、想像できる若年層はほぼ皆無でしょう。

アバターやハリー・ポッターやロード・オブ・ザ・リングも世界を席捲したかもしれませんが、タイタニックのそれは、社会現象であり、一つの歴史の節目だったんですね。米ソ冷戦時代を過ぎ、日本も1995年の阪神大震災ショックからかなり立ち直って、世界が一番落ち着いていた頃――多くの庶民が中流の暮らしを満喫し、映画に、旅行に、ファッションに、まだまだ余裕でお金を使えた、最後の時代の徒花みたいなヒット作だったのです。

その続きを申せば、1999年、アンゴルモアの大王など降ってこなくて(ノストラダムスの大予言)、世界も滅亡せず、無事に2000年のミレニアムを過ぎて、ああ、これから世界はもっと良くなるぞ……と希望を持ち始めた時、2001年9月11日のNYテロがあり、日本では労働法改正が不況にトドメを刺して、その後の転落ぶりは皆さんもご存じの通りでしょう。それ以前に、氷河期を体験して、大変な思いをされた方も多いでしょうけど、それでも、タイタニックの頃はまだ『再建』という望みがありました。それこそ舵を良い方に切れば、皆が氷山に激突することなく、難所をすり抜けたであろうし、あるいは、十分なライフボートに避難して、大勢が犠牲になることはなかったのです。そう考えると、映画『タイタニック』は、近未来を予兆するような作品だったのかもしれません。世界的にも、です。

タイタニックの公開当時は、町中の店舗という店舗にセリーヌ・ディオンの歌う『My Heart will goes on 』が流れ、家電店やレコードショップのモニターには、朝から晩まで繰り返し、夕陽をバックに、マストで抱き合うレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットのラブシーンが流れ、本屋には映画情報誌が山積み、ショッピングモールや駅のプラットフォームにも隙間なくポスターが貼られ、ほんと、世界中がタイタニック&レオ様&セリーヌ・ディオン一色でした。

しかし、私は劇場には行っておらず、実際に鑑賞したのは2001年になってからです。

私は、大ブレイクする以前のレオ様が大好きだったからです。

メジャーになった途端、「おもしろくない」というのは、コアなファンにありがちな心理です。

世界中が、レオ様、レオ様、と、古くからのファンを差し置いて、にわか熱で盛り上がるのが許せなかったのです。

それでも『タイタニック』が生涯の一本であることに変わりはないし(作品の良し悪しではなく、思い出として)、冒頭の海洋調査の様子に大いにインスピレーションを得ました。今でこそYouTubeや研究機関の動画で海洋調査の様子を垣間見ることができますが、2001年頃までは、インターネットもそこまで普及しておらず、このワンシーンが非常に貴重な資料だったからです。(1990年代はまだまだオタク向けのツールだった)

上記のヘリポートの場面も、影響を受けたといえば、そうなのでしょうけど、私としては認めたくありません。

何故なら、今でもタイタニックのレオ様には複雑な気持ちを抱いているからです (`・ω・´)

【第二章 採鉱プラットフォーム】 のシリーズ

このパートは海洋小説『曙光』(第二章・採鉱プラットフォーム)の抜粋です。詳しくは作品概要をご参照下さい。

第二章 採鉱プラットフォーム Googleブックスで試し読み

水深3000メートルの海台に広がる海底鉱物資源を採掘する為、潜水艇パイロットのヴァルターは洋上プラットフォームの採鉱システムを接続するミッションに参加する。採鉱事業を指揮するアルの娘リズは彼に一目惚れするが、彼の態度は素っ気なく..。
Googleブックスで試し読みできます。

海洋小説 《曙光》 MORGENROOD
ブックカバー
宇宙文明を支える稀少金属ニムロディウムをめぐる企業の攻防と、海洋社会の未来を描く人間ドラマ。心に傷を負った潜水艇のパイロットが、恋と仕事を通して成長する物語です。