知的基盤(情報インフラ)としての共有ネットワーク

知的基盤(情報インフラ)としての共有ネットワーク

知的基盤(情報インフラ)としての共有ネットワーク

日本に限らず、世界的にも、ここ十数年の間にITが急速に進化して、情報収集や伝達に関しては、十分に技術が行き届いた感があります。

これから先、何が問題になるかといえば、各個が保有する情報をどのように全体に活かすか……という視点です。

数年前から、「情報のサイロ化」ということが言われており、日経ビジネスにも非常に分かりやすい解説がありますが、喩えるなら、膨大な情報をもつ”個人”が、それぞれのテリトリーに閉じこもって、誰とも繋がっていない状態。いくら個人が情報に精通していても、それが全体に活かされなければ、情報の価値も半減してしまいます。

日経ビジネスオンラインSpecial

機密情報や個人情報。企業には外部には絶対漏らしてはならない情報が数多く存在している。昨今企業の存続に関わる情報漏えい事件…

これは、企業内や団体内に限らず、複数の機関をまたいだ『公』(社会全体)にも言えることです。

もし、A研究所とB研究所の保有する実験データが、いい形で共有されれば、知識も倍増、可能性も広がると思いませんか?

現在のところ、それがいい形で機能しているのが、遺伝子関連、いわゆるゲノム情報の世界です。『バイオインフォマティクス(生命情報科学)』という用語が浸透しつつあるように、世界的に共通の知的財産である膨大なゲノム情報をいかに共有し、実用に結びつけるかという試みが、急速に行われています。何故なら、ゲノム解析も、情報管理も、小さな研究所が手軽に扱えるものではないからです。

せっかく優秀な科学者を擁しても、肝心のゲノム情報が手に入らなければ、世界的な損失ですよね。

そこで、損得を抜きにして、ベースとなるゲノム情報は世界共有の知的財産とし、世界中の、どんな施設、どんな研究者でも、必要な時に、すぐに参照できるような生命情報データベース、またそれを支える高機能なインフラを整えましょう――というのが、バイオインフォマティクスの大きな動機であるわけですね。

これは生命科学に限らず、海洋科学でも、宇宙工学でも、同じことです。

たとえば、一口に海洋情報といっても、「マリアナ海溝の最深部は10994メートルである(2010年)」といったベーシックな知識から、企業機密に関わるものまで(水中機器の部品の材質や船舶の詳細な設計図など)、質、量ともに様々です。

多くの場合、すぐに必要なのは、「マリアナ海溝の最深部は何メートルか」という答えでしょう。

その時、情報が一般人までまったく行き渡らず、小さな研究所でも知り得ない状態としたら、どうなります? 

いちいち海洋調査船をマリアナ諸島の近海まで派遣して、自分たちで計測するんでしょうか? 

そんな事をしていたら、いくらお金と時間があっても、足りないですよね。

そうではなく、「正確な海洋情報なら、この検索ポータルを利用しろ」というウェブサービスなり、デジタル図書館なりがあれば、非常に助かりますよね。そこにアクセスすれば、小学生でも、クリック一つで、正確なマリアナ海溝の水深を知ることができます。

ちなみに、日本のGoogleで「マリアナ海溝 水深」と検索してみて下さい。

恐らくトップにWikipedia、次はニュースメディアが出てくると思います。

そこに書かれた数値を皆さんはすぐさま信用しますか?

マリアナ海溝の水深も、計測方法によって、年々、数値が変わっています。

ニュースメディアが扱っている情報も、どこかのプレスから引っ張った二次情報に過ぎません。

こういう時こそ、海洋科学のオフィシャルな研究機関であるJAMSTECや、大学の研究室など、学術的に正しいデータを保有しているデータベースを瞬時に参照できる環境にならないといけないんですよ。

それが本作で示唆している海洋情報ネットワークの構想です。

確かに、普段の暮らしの中で、マリアナ海溝の正確な水深を必要としている人など、数千万の市民の中で、ほんの一握りかもしれません。

だからといって、正確かどうかも分からない、いつの時代の情報かもわからない……というような環境では、マリアナ海溝に限らず、学術、産業、全てにおいて、無駄や間違いが発生しやすくなります。

それこそ世界中で共有されているゲノム情報みたいに、「最新かつ正確なデータは、ここからダウンロードできる」という知的インフラが整わないと、どんな分野も、進歩が滞ってしまうわけです。

ちなみに、英語で、「mariana trench depth」で検索すると、Wikiも上位で出てきますが、学術機関のサイトがずらりと出てきます。今のところ、学術に関しては、英語で検索した方が、はるかに精度が高いです。
国際的なデータベース検索も充実しています。

英語教育がうるさく言われるのも、そういう理由が大きいです。

今までは、「個の情報収集」の観点で、ハードウェア&ソフトウェアの開発やインフラ整備がなされてきましたが、今後はそれを全体にどう活かすか――共有の指針、目的、フィルタリング(情報の選別もしくはランク付け)、管理の権限、運営の責任、等々の見識が問われるようになってきます。それを具現化する、ハード&ソフトの開発も、これまでとはまったく違うスキルが要求されるでしょう。

上記は、あくまで創作ですが、今、我々が急がなければならないのは、全体の知的基盤の拡充です。

今後、ますます日本語の使い手が減少して、ITの世界では不利になっていくことを考えれば(いつまでもMicrosoftやGoogleが日本語ユーザーを大事にしてくれると期待してはいけない。現状でさえ、マルチバイトや縦書き文化には非常に厳しいものがある)、悠長に構えているべきではないとつくづく思います。

海洋情報ネットワークの構想はこちら↓

e-book & note magazine
海洋小説 《曙光》 MORGENROOD 試し読み
なぜあなたの恋は上手くいかないのか

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