MENU

宇宙の美しさは、かまやつひろしに教わった ~何もない大地に響く『やつらの足音のバラード』

私が子供の頃、土曜の夜のスケジュールは下記のように固定されていた。

午後6時半 = タイムボカン ヤッターマン

午後7時 = 仮面ライダー(人造人間キカイダー)

午後7時半 = キューティーハニー まんが日本むかし話 

午後八時 = 8時だよ、全員集合

午後九時 = Gメン75(アイフル大作戦、バーディー大作戦)

午後十時 = ウィークエンダー(←家族で見るな、ってーの^^;) 影同心 金田一耕助シリーズ

そして、いつの頃からか、午後7時~7時半の枠は「はじめ人間ギャートルズ」で固定され、エンディング、かまやつひろしの『やつらの足音のバラード』が流れる頃には家族の夕食も済んで、母は台所で洗い物、父は銭湯、子供たちは引き続きTVの前に座り込み、カトちゃんや志村けんのギャグに爆笑したものだった。

あの頃、土曜の夜に誰かが欠けることもなければ、TVの前で諍うこともない。

その時間、そのチャンネルに合わせれば、いかりや長介が元気に手を上げて、「8時だよ! 全員集合~!!」と呼びかけてくれた。

番組中盤には、青少年合唱隊が始まり、お決まりのように志村けんが「東村山三丁目」を歌う。

この流れ、このタイミングで、必ず出てくると分かっても、毎回、面白くて、『土曜の夜』は一家団欒でTVを楽しむ為に存在するようなものだった。

我が家に限らず、社会全体で。

それでも、子供にもストレスはある。

たくさんの宿題。

先生の説教。

嫌みな同級生。

面倒な学芸会。

カレーが食べたいのに、今夜も父の好みに合わせて「すき焼き」。

ネギを残すと、怒られて、肉ばかり食べると、「お父さんの分でしょ」とまた怒られて。

洋子ちゃんの家はいいな。おやつはカールで、アイスクリームも食べ放題。

うちは甘い物厳禁。

一日、みかん2個だけ。

なんで3つ食べたら、あかんねん。

段ボール箱の底で腐ってるやん。

etc...

そんな中、かまやつひろしが歌う『やつらの足音』は優しかった。

シンプルな歌詞。

シンプルなメロディ。

題名の如く、何にもない唄なのに、そこには宇宙が満ち溢れていた。

地球上に、まだ何も無かった頃――

学校も、公害も、ロッキード事件も、ベトナム戦争も無く、

人はみな、裸みたいな格好でマンモスを追いかけ、

日が昇れば起き、日が沈めば眠る。

蛍光灯も、信号も、灯油ランプもなかった時代、

人々は満天の星を見上げながら、何を考えていたのだろう……と幼い頭に思い巡らせたもの。

あれも欲しい、これも欲しい、親に買ってもらえないと、ひどく不幸に感じるけれど、

本当は、人が幸せに生きていくのに、あれもこれも必要ないんじゃないかと――。

なんにもない なんにもない まったくなんにもない

生まれた 生まれた 星がひとつ 暗い宇宙に生まれた

星には夜があり そして 朝が訪れた

なんにもない大地に ただ風が吹いてた

かまやつひろし 作曲  園山俊二 作詞

目を閉じれば、やつらの足音が聞こえてくる。

くどい修辞もなければ、主張もなく、淡々と地球が生まれた頃の風景を歌っているだけなのに、この優しさは何だろう。

日々の不満も、淋しさも、ちっぽけに思えるほど、宇宙的な広がりは。

思えば、あれもこれも一生懸命に頑張りすぎて、大事なものを遠くに忘れてきたみたい。

たとえ腰巻き一枚でも、香ばしいマンモスの肉と、楽しく語り合う仲間や家族がいれば、それだけで十分幸せなんじゃないか。

生きるって、物を持つことではなく、魂の体験にあるのだから。

そして、いつか人類が滅んでも、太陽は変わらず昇るし、満天の星も輝き続ける。

大宇宙の目から見れば、人間の一生など、星の瞬きに過ぎないが、それでも精一杯、生きていきたい。

もしかしたら、この世に人として生まれ落ちたこと自体、奇跡に違いないから。

ムッシュウかまやつは、一足先に夜空の星になったけれど、いつまでも、この曲は忘れないよ。

そして、あの土曜の夜に、幸せの全てがあったこと。

重大訂正! この動画を見て、初めて気付いたのですが、作詞は原作者の園山俊二さんなんですね。ごめんなさい!!

でも、かまやつ氏のイメージがあまりに強烈で、かまやつさんの作詞作曲と思い込んでました。

つつしんで、訂正致します<(_ _)>

CDはこちら。

アニメ・ミュージック・カプセル「はじめ人間ギャートルズ」
出演者  かまやつひろし、藤沢守 (アーティスト), 藤沢守(久石譲) (作曲), かまやつひろし (作曲)
監督  
定価  ¥1,980
中古 6点 & 新品   から
目次
閉じる