皆さんは『シェエラザード』という女性の物語を御存知でしょうか。
子供向けの本では『千夜一夜物語』として紹介されています。
昔、アラブの国に、非常に立派で気高い王がありました。
王は王妃の浮気の現場を目撃して以来、女性の愛を信じることが出来ず、処女と一夜を過ごしては、翌朝にはその娘を斬り殺すという蛮行を繰り返すようになります。
これらの出来事に心を痛めた大臣の娘シェエラザードは自ら申し出て、王の寝室に赴き、王と床を共にする傍ら、『シンドバッドの冒険』や『アリババと四十人の盗賊』といった面白い物語を話して聞かせます。
シェエラザードの語は、連続TVドラマのように、「では、この続きは、また明日」と途中で終わってしまうので、物語の続きが知りたい王は、シェエラザードを殺すに殺せません。
次の夜も、その次の夜も、シェエラザードを寝室に呼び寄せては、話を聞かせるよう求めます。
そうして千夜が過ぎ、シェエラザードの物語もついに完結すると、シェエラザードは潔く命を差し出しますが、彼女の聡明さと誠実に心を打たれた王は、再び愛に目覚め、彼女を妃に迎え入れて、末永く幸せに暮らします。
古今東西、いろんな恋の物語がありますが、シェエラザードほど女性の賢さを端的に描いた話もないように感じます。