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そしてゾウリムシは全滅した ~理科好き中学生のだいしっぱい(´。`)

生物冶金に絡むお話です。

私も子供の頃――といっても、中学一年生の時ですが――自分の目で微生物を観察したいと思い、川の水を汲んできて、ガラス瓶に入れ、日当たりのいい場所に置いて、培養したことがありました。

その頃、600倍まで拡大可能な学習用顕微鏡が家にあったのです。(これはキュリー姉が趣味と学習を兼ねて購入したものです)

狙い通り、三日目あたりから緑色になり、四~五日ぐらいで覗き頃になりました。

川の水を一滴、プレパラートに垂らし、顕微鏡で覗いてみれば、いるわ、いるわ、ゾウリムシ、ボルボックス、アオミドロ、等々、教科書に載っているオールスター勢揃いの世界。

さらには観察がやや難しいといわれるミドリムシがちょろちょろ遊泳している姿まで肉眼で捉えることができて、そりゃもう感謝感激の世界。

よし、もっと微生物を増やそう。

巨大な実験プールを作るのだ!

と思い立ち、ガラス瓶の水が蒸発しては大変と、水道水を加えたのが運の尽き。

瞬く間に微生物は姿を消し(当たり前ダ)、私の実験プールは一瞬にして死の海になってしまったんですよね。

まあ、このあたりが中学生研究者の浅はかさです、ハイ。

しかしながら、この試みは、非常に重要な事を教えてくれました。

それは、顕微鏡の倍率を変えると、微生物の姿は捉えられなくなる、ということです。

何を当たり前のことを――と思うかもしれませんが、頭で理解するのと、自分自身で実感するのでは、まったく違います。

だから、ウイルスでも、カビでも、何でも簡単に検出できると思ってる。

高倍率の顕微鏡があれば、どんなミクロな生物でも、ちょちょっと覗いて、確認することができる――

みたいな思い込みがあるから、医療の現場で、あるいは食品衛生管理において、無茶苦茶なクレームを言い出すのです。

どんな感染症か、すぐに分かるはず、と。

確かに、結核や梅毒みたいに、一般に存在が知られて、検査手法も確立された細菌に関しては、専用キットを使えば、陽性・陰性の判別は比較的簡単につきます。

が、それも、医師が症状を診て、ある程度、原因を絞り込み、「この検査が必要」とフォーカスして初めて、最短距離で判別がつくことです。

最初の見立てが間違っていたら……あるいは、まったく予期せぬ原因であったら……そこから先の道程は厳しくなりますし、何でも血液を採取して、シャーレで培養して、ちょっと顕微鏡を覗けば、すぐに正体が分かるというものではありません。

川の水に生息する微生物オールスター(小中学生でも容易に識別できる種類)を、一つずつ確認するにも、倍率が違えば、たちまち姿を見失うからです。

人間でも、視力にほとんど問題のない人が強度の老眼鏡をかけると、たちまち視界がぼやけて、本の見出しすら読めなくなりますよね。

ミクロの生物も、あれと同じです。

ピント(倍率)が合わなければ、その姿を確認することはできないし、川の水でさえ、倍率200と、倍率600では、見える微生物の種類が違います。

まして、未知の生物であれば、最初から大きさが分かっているわけではありません。マイクロメートルなのか、ナノメートルなのか。

健常者が強度の老眼鏡をかければ、新聞の文字すら読めなくなってしまうように、顕微鏡も倍率が合わなければ、たとえ目の前に細菌が泳いでいても、それを認識することすらできなくなってしまうわけです。

それが、未知のウイルスの姿を捉えた電子顕微鏡の写真が、科学誌で絶賛される所以で、世界一の倍率を誇る電子顕微鏡を有しているからといって、何でもかんでも見える、というわけではないんですね。

まして、数十億年前に生息した微生物の化石とか、もしかしたら隕石に潜んでいるかもしれない宇宙生物の痕跡とか、ほとんど奇跡に近いであろうと私は思います。(だから第一発見者は永久に称えられる)

ところで、生物冶金の話ですが、私がバイオリーチングについて知ったのは、偶然、ロケットニュースで【錬金術】純金のウンコを出す生物が発見されるという記事を目にしたのがきっかけです。

それからバイオリーチングについてリサーチしたところ、既に実用化されている分野もあり、JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)が2009年にはバイオリーチング技術に関するシンポジウムのレポートを配布しています。

ということは、私も相当遅れて知ったわけですが、周知の通り、銅鉱石でも、その他の有用鉱物でも、石を拾って砕けば、直ちに金属資源として活用できるというものではありません。

パンフレットにもあるように、どれほど高品位の鉱石でも、目的とする金属成分以外に、鉱業的には使い物にならない成分も多量に含まれており、それをいかに効率よく除去して、有用な金属成分だけを回収するか……というのが、非常に重要なポイントになってくるわけです。

たとえば、銅鉱石を1トン採取しても、その大半が、ほとんど役に立たない砂利みたいな成分で、選鉱・精鉱がんばったけど、金属資源として使える銅は50グラムでしたぁ~、となれば、作業に要した人件費や材料費はどうやって取り返すのか……という話です。

また、鉱石(金属)の種類によっては、精鉱、あるいは製錬の過程で、二酸化炭素を排出したり、電気エネルギーを消費したり、人体に有害な物質が生じたり、いろいろ問題もあります。

それについて、より安全で簡便、なおかつ安価な方法を模索している中の一つがバイオリーチングで、将来的に微生物から純度の高いゴールドが回収できるかどうかは分かりませんけども、鉱業や金属工業においては、非常にユニークな試みであることは間違いありません。

そういう意味でも、子供時代における微生物との出会いは貴重ですし、川の水一滴に存在する無数のオールスターを自身の目で確認することは、もう一つの宇宙との出会いであると言えるでしょう。

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