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海洋小説 MORGENROOD

  • 2019年8月3日

これが生だったのか。それなら、よしもう一度! 自己肯定と魂の幸福

緘黙症と指摘された息子も、優れたスピーチセラピーで言葉の能力を取り戻すが、学校で苛められ「死にたい」とこぼすようになる。「生を肯定し、自分を好きになる」という助言を得た父親は、息子に『永劫回帰』の思想を教えようとするが、子供には難解すぎて分からない。そこで『永遠の環』という喩えで生を愛する気持ちを伝えようとする。本作のテーマであるニーチェの『生の哲学』および手塚富雄訳ツァラトゥストラから『これが──生だったのか』わたしは死に向かって言おう。『よし、それならもう一度!』の抜粋を紹介。

  • 2019年8月3日

数百年に一度の水害に備えて ~絶対に大丈夫となぜ言い切れるのか

水害に備えて、締切堤防の補強工事の必要を自治体に訴えるが却下され、治水関係者の失望の中、千年に一度のストームが襲いかかる。堤防の決壊を阻止する為、高潮に立ち向かうが、状況は悪化する一方だ。思春期を迎え、心の葛藤を抱える息子を残して、決して死ぬ訳にはいかないと奮闘するが……。オランダ南部、ゼーラント州のスヘルデ河口に建設された締切堤防や防潮堤防によって作り出された湖の画像などを掲載しています。

  • 2019年8月3日

海は生きとし生けるものの故郷  ~アルベールⅠ世とモナコ海洋科学博物館

フォンヴィエイユに移り住んだ母子はアルベール一世の創立したモナコ海洋博物館を訪れる。海に魅せられた息子は深海の世界に思いを馳せるようになる。一方、富裕な実業家で、現実主義者のラクロワ氏は、幸福も教育も金で買える時代だ、給仕に通わせられる学校などたかが知れていると喝破する。モナコ海洋博物館のCM動画、作中で歌われるシャンソンの名曲『La Mer』の動画を紹介しています。

  • 2019年8月3日

大洪水と父の死 繰り返される悪夢と心的外傷

故郷の干拓地を壊滅した大洪水で、ヴァルターの父親は堤防を守りに戻って命を落とす。故郷と最愛の人を失った悲しみは十三歳の彼の心を深く傷つけ、悪夢となって繰り返される。一方、彼の心には家族を置いて堤防を守りに戻った父の行動に対する疑念も湧き、それが罪悪感となっていっそう彼を苦しめる。癒やしようのない悲しみに救いは訪れるのか。

  • 2019年8月3日

処世の知恵と真理の違い 人は魂で生き、理性で現世を渡る

最愛の父を亡くしたヴァルターは経済的理由から母の昔の婚約者で再婚相手の家に身を寄せるが、継父のラクロワ氏は父とは全く異なる価値観の持ち主だった。ラクロワ氏の説く処世術はどれも納得いくものだったが、父の教えの方が心にしみる。真理は処世とは異なることを実感するうち、継父への不信感を募らせていく。

  • 2019年8月3日

深海と有人潜水艇 海に広がる豊かな生命の世界

洪水で最愛の父を亡くし、悪夢に苦しむヴァルターは、海洋科学技術センターの主催する特別研修で有人潜水艇の潜航に立ち会い、豊かな深海の世界に魅了される。海の底に父の命を感じた彼は潜水艇のパイロットを目指す。チューブワームやブラックスモーカー、実際の有人潜水艇の潜航の模様を記録した動画を紹介しています。

  • 2019年8月3日

創造的であることが、あらゆる苦悩から我々を解き放ってくれる

大洪水から6年の歳月が経っても未だ悪夢と喪失感に苦しむヴァルターは同郷の大学教授の講演に足を運ぶ。「人間とは乗り越えられるものだよ」と髭の教授は言った。「創造的であることが、あらゆる苦悩から我々を救ってくれる。傷つき、苦しむ自分を恥じなくなった時、本当の意味で君は悲劇から自由になれる」と励まされ、壊滅した故郷と向き合う決意がつく。元ネタとなったンニーチェの【悦ばしき知識】の名言なども紹介。

  • 2019年8月3日

復興ボランティアと心の再建 ~今日の努力が常しえに故郷を支えるように

洪水で壊滅した故郷では復興ボランティアが全力で植樹や土壌改良を行い、町の再建に力を尽くしていた。一方、自治体は沿岸を埋め立て、商業施設を建設することを画策。元住民は反発するが、様々な思惑が交錯し、再建は一向に進まない。オランダの干拓地や海岸線の写真を掲載。水と共に生きてきた国の歴史が窺える。

  • 2019年8月20日

迷走する再建計画とアイデアコンペ 元住民の願いと自治体の思惑

大洪水で壊滅した故郷の干拓地について、再建の見通しが全く立たない中、臨海都市計画が持ち上がる。緑の干拓地が戻ることを切望する元住民と、経済復興を優先する自治体や財界の間で軋轢が生じるが、復興ボランティアに打ち込むヴァルターは幼馴染みのヤンと組んで人工地盤を用いた『緑の堤防』を提案する。