幸せになるのが怖い

「幸せになるのが怖い・・」 幸せとは新しい価値観を受け入れること

幸せになるのが怖い

幸せになるのが怖い人がいます。

望みの幸せを手に入れて、笑っている自分が想像つかないのです。

何かが上手く行きそうになると、自分からわざわざ不幸の種を蒔いて、不幸の中に身を投じます。

そして、相変わらず、辛いわ、悲しいわ……と嘆くのです。

恐らく、幸せになるのが怖い人は、「自分など幸せになる価値もない」と思い込んでいるのではないでしょうか。

十分その資格があるのに、自分が信じられないんですね。

本作に登場するヴァルターは、大洪水で最愛の父親を失い、自分だけが生き残ったこと、そして、故郷の仲間は揚々と復興ボランティアに励み、仕事も私生活も順調なのに、自分だけが道を誤り、仕事も私生活もどん底に落ちたことを恥ずかしく感じています。だから、恋人ができてもよそよそしいし、新しい仕事も心底から打ち込むことができません。全ては幸せになるのが怖いからです。

そのことをマックスの奥さんのエヴァに指摘されますが、受け入れられないまま、ずるずると結論を引き延ばし、とうとう自分で幸運の芽を摘んでしまいます。

実はこうしたコンプレックスは誰の中にも潜んでおり、最大の敵は自分自身と言われる所以です。

誤った思い込みは、人間関係のみならず、仕事も、社会生活も、何もかもぶち壊してしまうのです。

このパートは海洋小説『曙光』(第三章・海洋情報ネットワーク)の抜粋です。
詳しくは作品概要、もしくはタイトル一覧をご参照下さい。
WEBに掲載している抜粋は改訂前のものです。内容に大きな変更はなく、細部の表現のみ訂正しています。

【あらすじ】 よせばいいのに……

湾岸開発の進むペネロペ湾に、再建コンペで対立した世界的建築家フランシス・メイヤーと大手建設会社のロイヤルボーデン社が足がかりを作り、『海上のヴェニス』と称される巨大な円環の海上都市『パラディオン』を建設しようと企てているのを知り、ヴァルターは激しく動揺する。
「もう忘れろ」というマックスとエヴァの忠告も聞かずに、再びペネロペ湾に赴き、ランドマークタワーのイベントホールで再びメイヤーと鉢合わせる。
結局また口論になり、苦い思いで戻ってきたヴァルターに対し、エヴァが今の生き方を問う。

【小説の抜粋】 幸せとは新しい価値観を受け入れること

幸せとは新しい価値観を受け入れること

「私には、あなたがわざと嵐の中に身を置いているようにしか思えない。でも、それは本当にお父さんの望みかしら。私が親なら、今手にしているもので幸せになって欲しいと願うわ。お父さんが不幸な亡くなり方をしたからといって、あなたまで不幸になる必要はないのよ。それとも幸せになるのが怖いの?」

「楽しいことだけ考えて、安らかに暮らしたい気持ちは皆と同じだ。何かあっても見て見ぬ振り、自分とは関わりの無い事と割り切って生きていけたら、どれほど楽かしれない。だが、それは俺の生き方ではないし、父の教えとも違う。そこから離れたら、自分自身でなくなってしまう」

「あなたは新しい価値観を恐れているのではない? 幸せになるということは、新しい考え方を受け入れることよ。『こうあるべき』という先入観をリセットして、今まで考えもしなかった生き方を選択するの。それはあなたにとって不安を伴うかもしれないけど、もしかしたら、その中にこそ本当の救いがあるかもしれない。あなたにとっても、お父さんにとっても。少なくとも、嵐の記憶にがんじがらめになって一生棒に振ることは望んでないはずよ」

「父さんは俺の指針だ。忘れるなんてできない」

「ええ、分かってる。でも『忘れずにいること』と『その中に閉じてしまうこと』は別でしょう?」

第三章 海洋情報ネットワーク Kindle Unlimited版

分散する海洋調査データを統合・管理する為に、情報共有ネットワークの構築に向けて奔走するが、なかなか理解が得られず、悪戦苦闘する。パートナーとして助力するリズとも次第に気まずくなる中、リズの又従妹を名乗る女性が現れる。
Kindle Unlimitedなら読み放題。

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