エボラ熱と映画『アウトブレイク』ダスティン・ホフマン主演

目次

映画『アウトブレイク』について

今、西アフリカを中心に猛威を振るっているエボラ熱。

アメリカでも感染国からの入国でリベリア人男性が死亡し、入国者が特に多い国際空港には専門の医療班が派遣されるなど、次第に危機感が高まっています。

私もこのニュースは注意深く見守っており、本当に収束するのか、心配しています。

「日本は海に囲まれてるから、ダイジョーブ」という感覚があるかもしれませんが、現代は飛行機をはじめとする国際的な交通手段が発達し、様々な国の、様々な人が、日常的に、大量に行き交っている為、『絶対安全』ということは言い切れません。

それでも正しい知識があれば感染は防げますし、冷静な判断ができると思いますので、興味のある方は映画『アウトブレイク』をご覧になることをおすすめします。

1995年のハリウッド映画ですが、エボラ・ウイルスをモチーフにしており、感染の経路、医療者の対応、実際に町で流行したらこれくらいの厳重警戒、隔離状態になる点を忠実に描いていますので、入門編としておすすめです。


【あらすじ】 未知のウイルスとの闘い

Wikiより・・

モターバ川流域の小さな村で未知のウイルスによる出血熱が発生する。
アメリカ陸軍伝染病医学研究所のダニエルズ大佐(ダスティン・ホフマン)を始めとした調査隊が現地に向かうも時既に遅く、村の医師と村から離れて暮らしていた祈祷師を除いて村は全滅状態となっていた。

ダニエルズはウイルスの致死率の高さと感染者を死にいたらしめるスピードの早さに危機感を抱き、軍上層部とアメリカ疾病予防管理センター(CDC)に勤務する元妻のロビーに警戒通達の発令を要請するが、双方から却下されてしまう。

そんな折、アフリカから一匹のサルがアメリカに密輸入された・・。

*

密売人の男はサルをペットショップに持ち込むが、ペットショップのオーナーは買い取りを拒否する。
しかし、サルにバナナを食べさせる際、サルに指を噛まれ、モターバ・ウイルスに感染する。

アウトブレイク

アメリカ陸軍伝染病医学研究所では『モターバ・ウイルス』の存在を確認するが、その対応に動く前に、どんどん感染が広がっていく。

アウトブレイク ダスティン・ホフマン

買い取りを拒否された密売人の男はサルを公園で手放すが、その前に自身も感染し、移動中の飛行機の中で発症する。

空港には恋人が出迎えに来るが、男はそこで倒れ、彼女も汗や唾液に接触したことで感染してしまう。

アウトブレイク ダスティン・ホフマン

病院に運び込まれた密売人の男は身体中から出血し、死の床にある。
ダニエルズ大佐の妻で、専門医であるロビーは男から「最近、動物に触ったことは?」と聞きだそうとするが、答える前に絶命してしまう。

アウトブレイク ダスティン・ホフマン

さらに映画館では、彼らに接触した客(ウイルスのキャリア)がホール内でゴンゴンと咳をし、その唾液から場内の観客に一気に感染が広がる。

アウトブレイク ダスティン・ホフマン

さらに病院では検査技師の不注意からウイルスを含む血液が拡散。
重大な事態を引き起こす。

アウトブレイク ダスティン・ホフマン

感染した患者が次々に病院に運ばれ、町中がパニックに。

アウトブレイク ダスティン・ホフマン

アウトブレイク ダスティン・ホフマン

道路は封鎖され、町中に軍隊が派遣される。
ウイルスのキャリアを一人でも町の外に出せば、アメリカ全土に感染が広がる恐れがあるからだ。

アウトブレイク ダスティン・ホフマン

アウトブレイク ダスティン・ホフマン

感染した母親は、子供や夫と別れのキスを交わすこともできない。
家族に見送られながら、一人、隔離施設へと送られる。

アウトブレイク ダスティン・ホフマン

独自に調査を進めるダニエルズ大佐は、ついに密輸されたサルの存在をつきとめ、TVニュースを介して市民に危険を呼びかける。

このサルは、ウイルスの抗体を有する、唯一の『治療薬』でもある。

アウトブレイク ダスティン・ホフマン

感染の拡大を恐れる軍の上層部は、町に爆弾を投下し、患者ごと焼き払う作戦を実行する。

アウトブレイク ダスティン・ホフマン

アウトブレイク ダスティン・ホフマン

一方、サルの捕獲に成功したダニエルズ大佐は「モターバ・ウイルスの治療方法が見つかった。爆弾を投下するな」とパイロットに呼びかける。

アウトブレイク ダスティン・ホフマン

キーファー・サザーランドが冷酷な上官を、モーガン・フリーマンが良心的な将校を演じています。

アウトブレイク ダスティン・ホフマン

映画の見どころ

ジャンルとしては「災害パニックもの」に分類されるのですが、医療や防疫の知識に基づいて忠実に描かれているため、非常にリアリティがあり、予備知識としても役立ちます。

それでいてエンターテイメントの要素もあり、話もテンポよく進むので、気軽に鑑賞できる、良質な作品に仕上がっています。

ダスティン・ホフマン&レネ・ルッソという組み合わせも意外ですが、それはそれで面白いかと。

脇で、モーガン・フリーマンとドナルド・サザーランドが共演しているのも、映画好きには興味深いです。

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出演者  ダスティン・ホフマン (出演), レネ・ルッソ (出演), モーガン・フリーマン (出演), キューバ・グッディング・Jr. (出演), パトリック・デンプシー (出演), ドナルド・サザーランド (出演), ケビン・スペイシー (出演), ウォルフガング・ペーターゼン (監督)
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【医療コラム】 感染と社会的影響

感染が水面下で広がりやすい理由

実際、「感染」というのは案外身近にあります。表沙汰にならないだけで。

私も看護業務を通して、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の保菌者(キャリア)になった経験があるし(すごく体調の悪い時にMRSAの患者さんに接して、自分自身ももらってしまった。手指の消毒やガウンなど、気を付けていたつもりなのに、やはり怖いものだと実感しました)。

十数年前にはある地域で結核が再流行して、私の知り合いのドクターと看護婦数名がやはり院内感染した経緯があります。(今でも若い人が罹患することがあるんですよ)

「若い」とか、「日頃から健康体」とかは、関係ありません。

どんな人も、日常的に、様々な病原菌やウイルスに接していて、感染というなら、毎日、何かに感染しているようなものです。

ただ、多くの人は、免疫細胞の働きによって、病原菌やウイルスに打ち勝ち、発症しないだけ。

発症しても、軽い喉の痛みだけで済んだり、うどん食って、布団かぶって、三日三晩、寝たら、熱も下がって、「あー、治ったー」と実感するのが大半でしょう。

いちいち自覚しないだけで、どんな人も、日々、何かに感染し、多くは自然に打ち勝ってるんですね。

見方を変えれば、些細なことがきっかけで、重篤な感染症を引き起こす……という事でもあります。

私のMRSA事件も、あの頃、病棟スタッフの大半が、その患者さんと接していました。

でも、キャリアになったのは、私と、某先輩の二人だけ。

後で聞いたら、某先輩も風邪気味で、体調の悪い時に、その患者さんの病室に行って、保菌者になってしまったと。

もちろん、私と某先輩の手洗いの仕方やマスク・ガウンの着用に誤りがあったのかもしれませんが、それだけでは説明がつかないところもあるのが、感染症の恐ろしさです。

病原菌もウイルスも、目には見えないし、接触しても、痛くも痒くもないからです。

*

たとえば、ある感染症について「100人が発症」という発表があったとします。

でも、それはあくまで「自分から病院に行って、診断が出た人」の数であって、世間体を気にして受診しない人もあれば、自然に治るならいいかと放置する人もあります。

公式発表が、必ずしも実態を正確に示しているとは限りません。性病などは、特にそうですね。

また、診断がついても、その後のフォローを無視する人もあるし、病識のない人もあります(自分の体液や血液が他者にとってどれほど危険か、まったく自覚がない)。

むしろ、世間に対して、隠している人の方が大半でしょう。

一般社会において、「ボク、キャリアです」なんて、言えるわけがないですから。(ものによっては、就職にも、結婚にも不利になる)

こうした、病原菌やウイルスそのものの性質に加えて、社会的な理由もあり、感染症というのは、どんどん水面下で広がっていくものです。

おかしな言い方ですが、発熱なり、喉の痛みなり、感染症の兆候が現れて、病院を受診して、診断がつく人はまだラッキーなのですよ。知人や家族など、周りにいる人にとってもです。

本当に怖いのは、「無知」と「無関心」。

そして、自分の身体に異変が起きても、隠そうとする気持ちです。

たとえば、結婚を前提にお付き合いする場合、「問題となる感染症がないか、お互いに検査しましょう」というのが、一昔前は当たり前でした。

でも、今、そんなことを口にすれば、人権侵害と怒られますよね。

しかし、実際問題、何も知らずに子供を授かって、胎児に重大な影響を及ぼすこともあれば、一緒に暮らすうちに、配偶者に感染することもあります。

自分に感染症が有るか、無いか、きっちり調べるのは、人格うんぬんの問題ではなく、自分や相手の安全を守る為ですよ。

確かに、この社会には偏見があって、○○検査で陽性反応が出た為に、職場を解雇された人もあります。

結婚を拒否される人もあります。

だからといって、「人権侵害」を盾に、見逃していい理由はどこにもありません。

何故なら、たった一滴の血液、たった一度のクシャミで、周りの人が感染し、最悪、死に至ることもあるからです。

感染というのは、心身の問題に限らず、社会的にも大きな影響を及ぼすこともありますので、慎重に扱わなければならないのは確かですが、身近に起きた場合は、医療者のアドバイスに素直に従い、適切な対応をして頂きたいと願っています。

がーっと感情的になって一方的に通院を止めたり、検査に来なかったりする人もありますので。

Photo : http://www.the-solute.com/movies-by-the-fives-march-1995/

初稿: 2014年10月10日

この記事を書いた人

石田 朋子のアバター 石田 朋子 サイト管理人

作家・文芸愛好家。80年代サブカルチャーの大ファン。普段はぼーっとしたおかあさんです。昭和の名作漫画はほとんど空で台詞が言えるほどの元祖ヲタ。車と猫が大好きな東欧在住。サイトでは作品紹介ではなく、作品を題材とした文芸コラムを掲載しています。

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