心が息を吐き出すように綴った詩を掲載しています。
いずれも1998年から2000年頃にかけて書いた詩です。
darkness 闇もまた優しい -Respiration Ⅰ-
陽が当たりそうで 当たらない
そんな暗闇を生きている
生きることに意味があったのは
言葉も知らぬ 無垢な頃
何が私を変えたかは
もう遠い昔のことなので
語る気にもなれない
せいぜい
渇いた道すがら
蜃気楼のように
夏の陽を思い出すぐらいで
…そうして私は 幾度も闇に落ちる
悲鳴など上げもせず
落ちて行く
闇もまた優しい
すりきれた私には
希みを持つことも
忘れさせてくれる
初稿:2000年秋
The Moon -Respiration Ⅱ-
月が私を見ている
赤い歯を剥き出しにして
何をそんなに笑うことがあるの
私は今日を生きるのに精一杯・・
私もお日様になりたかった
明るく世界を照らす陽に
だけど私は凍てつく夜の影
自らは輝けぬ星
光を投げかけられねば
生きて行けない
カーテンの隙間から
月が見ている
ソファ横たわる私の姿を
涙に濡れた冷たい寝顔を
初稿:2000年秋
私はあなたの心に映る影
どうぞ、私の言葉の上を通り過ぎてください。
私は名前もなく
実体もなく
あなたの心に映る影だからです
どんな風にでも解釈してください
怒り
戸惑い
嘆き
羨み
それは私の感情ではなく
あなたの感情だからです
そして、あなたの感じたことを大切にしてください
あなたが私の言葉に何かを感じた時
私が初めて姿を現すからです
Angel ~嘆きの天使~
人を信じ、世界を慈しみながらも
その裏側で
世界など滅んでしまえばいいのに、と願う
Angel
誰よりも人間を知るが故に
人々の幸せを願いながらも
ノアに方舟を作らせ
地上を水で洗い流した神様の気持ちが
よくわかる
Angel
誰よりも人間を信じるが故に
時に裏切られ
時に失望しながらも
人を愛さずにいられない
彼ら 御使いの白い翼は
とおに擦り切れてしまったというのに
初稿:2000年 秋
淋しい祈り
悲しすぎる夜
私は力なく神の門をたたく
それで明日が
変わるわけではないけれど
誰かの耳には
聞き届けられるような気がして
初稿:2000年
言葉
言葉は 時に 病的に
私に襲いかかる
だけど それは
私がPure だからではなく
泥も光も あわせ持った
生々しい生き物だから
ここではない何処か
この世を離れた何処かへ
今すぐ飛んで行こう
心が新しいうちに
言葉が死なないうちに
初稿:2000年