彩雲 ~人間の眼は、意識したものしか見えない

皆さんは『彩雲』をご存じですか。

太陽の光の加減で、雲の縁あるいは全体が、まるで虹が架かったように七色に輝いて見える現象です。

雨上がりや、陽が大きく傾く早朝や黄昏にしばしば見られ、古代中国では幸運の始まりを告げる吉兆とされてきました。

それはまさに光と雲が織りなす自然の芸術であり、大いなる存在 を感じさせる一瞬の奇跡です。

光り輝く太陽の側に、虹のような 五色の雲を見たら、悲しみに塞ぐあなたの心もきっと光が差したように軽やかになるでしょう。

ところで、私が『彩雲』を知ったのは、ほんの二年前の話です。 それまでは、雲が絶えず変化するものだという事さえ意識せずに きました。

友達から話を聞いて、本当にそんなものが存在するのかと興味深 く空をウォッチングするようになってから、雲の美しさを知ったような気がします。

だけど、考えてみれば、『彩雲』は私が生まれる前から頭の上に あったはずなんですね。ただ私が知らなかっただけで、あの日も、 あの時も、彩雲は輝いていたのです。

最近になって、あちらこちらに五色の雲を見るようになったのは、 見たいと思って空を探すからでしょう。

ぼんやりと見上げている 目には、たとえそこにあったとしても、何も映らないのかもしれ ません。

人間にとって必要なものも、かくの如しという気がします。 愛も、生き甲斐も、本当はすぐ目の前にあるのかもしれません。

ただ、あなたが見ようとしないだけ、探そうとしないだけで、本気になれば、いつでも手に入るのではないでしょうか。

人間の目は、見ようと意識したものしか見えません。

自分は何が見たいのか、 まずそこから始めてみましょう。

この記事を書いた人

石田 朋子のアバター 石田 朋子 サイト管理人

作家・文芸愛好家。80年代サブカルチャーの大ファン。普段はぼーっとしたおかあさんです。昭和の名作漫画はほとんど空で台詞が言えるほどの元祖ヲタ。車と猫が大好きな東欧在住。サイトでは作品紹介ではなく、作品を題材とした文芸コラムを掲載しています。

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