女性 ファンタジー

姉さんの年が、そのまま世界の年のような気がする

女性 ファンタジー

寺山修司の戯曲『血は立ったまま眠っている』より

これを読んでみて下さい。
灰男わが撃ちし鳥は拾わで 帰るなり
もはや飛ばざる ものは妬まぬ
・・・何だ、歌じゃないか。
おれたちは詩や歌なんて用はない(と、投げ出す)
何をするんです
灰男きみが、書いたのか。
姉さんです。
灰男それを何できみがもって歩いてるんだ。
僕とちがって姉さんは勇気があります。それに学問がある。十八なんだけど、ぼくには姉さんの年がそのまま世界の年のような気がするんだ。それにぼくと血がつながっているくせに詩人なんです。

良(=17歳。自動車修理工)は、灰男(=23歳。テロリスト)の舎弟みたいなものだ。
「がらすがあったら石をぶつけろ。壁があったらけとばすんだ」という灰男と一緒に、物を盗んだり、壊したり、を試みている。
そのくせ、どこか臆病で、躊躇いもある。

破壊と従順の狭間に立ち、現実を憎むことも、変えることもできない良にとって、夏美は別次元に生きる人。

この世の中において、堂々と詩を書けるのは、『自分の心』というものをしっかり持ち続けられる強さに他ならないから。

出典:戯曲 毛皮のマリー・血は立ったまま眠っている (角川文庫)

Tags: , ,

寺山修司の関連記事

NO IMAGE

申し訳ないけど、食卓です。これは愚答ってものでしょうか。でも、本当に申し訳ないけど、食卓なのです。師匠も言ってますよね。『家というものが運命化した共同体だと思っている人にとって……』。結婚は意図的だけど、家族は偶発的なものです。

靴 Notes

良も、自由に憧れるだけ、本当のところ、自分が何を為すべきか、この世に何が必要かなど考えちゃいない。自由という言葉がもつ開放的な響きに憧れているだけで、自分の立ち位置や本当の望みさえ分かってないような気がする。『自由』は他人に認めさせるものではない。己の中に深く静かに宣言するものである。

女性

『この世で一番きれいな人は誰ですか』という問いかけは、美意識ではなく、自己顕示であり、支配欲である。ゆえに、『この世で一番きれいな人は誰ですか』という問いかけは、絶え間ない競争や劣等感をもたらし、決して本人を幸せにしないのだ。見かけの美しさが運なら、自身の心の中に美を見出すのは知恵だから。