Apple スティーブ・ジョブズ

Stay hungry, Stay foolish ースティーブ・ジョブズ伝説のスピーチよりー

Apple スティーブ・ジョブズ

日本でも、今はビジネス誌を中心に、あちこちでスティーブ・ジョブズの特集が組まれていると思う。そして、おそらくは、多くのコラムニストが、「伝説のスピーチ」と呼ばれるスタンフォード大学での卒業生に送るメッセージ、その締めくくりの言葉である『Stay hungry, Stay foolish』を引用してるのではないだろうか。

直訳すれば、「ハングリーであれ、愚かであり続けろ」。

Be hungry, Be foolish じゃなくて、「Stay」=状態の継続を意味しているところが、このメッセージの鍵だよね。

hungryにしても、foolishにしても、直訳すると、ちょっと味気なくなるところが翻訳の限界。

特に前者は「ハングリー」と和製英語で表した方が、きっとイメージしやすい。

後者のfoolishはどうだろう。一般には「愚かな」「ふざけた」「思慮のない」という風に訳されるけれども、それは決して、それ一筋の「オタク」になれ、周りの忠告など無視して自分の世界で生きればいいんだ、という意味ではないと思う。馬鹿な振りして周りを欺けという意味でも、もちろん、ない。

人が何かを始める時──それもまったく新しい、誰も試みたことがない、むしろ世間では少数派、無価値と思われるようなことを実現しようとする時──先入観や既成概念にこだわっていては何も出来ないのは言わずもがな。

それこそ「頭をカラッポ」にしなければ、画期的なアイデアなど生まれてこないし、たとえ何か着想しても、「成功しそうにないから」「今はこれがブームだから」みたいな固定観念があっては実行に移せない。

Foolish ── 傍から見れば「アイツ、どうかしてるんじゃないのか?」と思われるような事でも、信念もってやってみる。

「バカになる」というのは、自分の中の恐れとの闘い、世間との偏見の闘いだ。

そして、それは、もしかしたら、この世で一番孤独な闘いかもしれない。

失敗してバカを見たくない、恥を搔きたくないという気持ちはみな同じ。でも、何か閃いて、それに懸けたくなる瞬間が、成功者には何度も訪れる。それは才能とか実力とか運とか、そういう問題じゃない。こう言ってしまったら身も蓋もないが、世の中には「それをするよう定められた人」がいて、他のどんな優秀で力のある者が死ぬほど努力しても、その器には敵わないんだよね。

誰もが世界一の成功者になれるわけではないし、何かやっても小遣い稼ぎが精一杯、って人の方が、多分、大多数。

そして、たとえ自分が後者だと分かっても、何もやらないよりは、やった方がいい。

そういう「庶民の運命」を受け入れつつ、自分の器の中で精一杯がんばる勇気を持つのも「foolish」のうちではなかろうか。

スティーブにとって一番悲しいのは、若い人が「foolish」になる勇気を持たないことだ。

「どうせやっても、先が知れてるし」などと言えば、アイコンの草場の陰で彼が号泣するにちがいない。

スピーチの全文(英語)はスタンフォード大学の公式ページに掲載されています。
http://news.stanford.edu/news/2005/june15/jobs-061505.html

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ビジネスとは、生きざまの証明。世界を変えられると本気で信じる人間こそが本当に世界を変える―。愚直なまでにおのれの信念を貫く男の素顔を、アップルコンピュータを12年以上にわたり追いつづけてきた著者が圧倒的な取材力で描き出す。

スティーブ・ジョブズの本もいろいろ出てるけど、この著作はジョブズという人間を冷静客観に描いていて、一歩引いた視点で楽しめる。「偉人伝」や「成功のハウツー」を期待している人にはすすめない。一人のビジネスマンとしての在り方を肌で感じたい。

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