河合隼雄と家族心理– tag –
心理学者にして文人でもある河合隼雄氏の名著『家族関係を考える』とギリシャ悲劇『オイディプス』をベースに、思春期の子供の自立と内面的な親殺しについて綴るコラム集。有料コンテンツを含みます。
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コラム子育て・家育て『自信たっぷりに育てられたら、子どもだってたまらんさ』(吉田秋生のカリフォルニア物語より)
世の中には自分の教育法を疑いもしない親が少なくないですが、自分の方針を疑うことなく、自信たっぷりな親は、子供ではなく、自分自身を愛しているのです。その自己愛は、いずれ子供にも伝わり、子供の心を深く傷つけます。自分の親から愛が感じられない子供は、自分の存在意義が感じられず、心が壊れていくのです。 -
コラム子育て・家育て親子の間にも距離は必要 ~ヤマアラシのジレンマから学ぶ
親子といえど、心をもった、一対一の人間関係。くっつきすぎても、離れすぎても、心は温まりません。ショーペンハウワーの寓話『ヤマアラシのジレンマ 」のように、子供と適切な距離をあけてみませんか。物理的に距離を置くことで、逆に解り合えることもあります。人間関係の適切な距離は、いっそう愛と信頼を深めるものです。 -
コラム子育て・家育て子供の自立は罪ではない ~親子関係は『距離』が解決することもある
親から離れることが叶っても、親の影は一生ついて回ります。辛い記憶も、憎しみも、心からすっかり払拭されることはないでしょう。それでも人は光に向かって進むことができます。怒りや憎悪に生きるより、生き甲斐や悦びや友情を大事にした方が、うんと幸せだと思いませんか。 -
コラム子育て・家育て人生は最後まで生きてみないと分からない
人生とは絶えず変化し、その行く先は誰にも分からないものです。70代になっても、80代になっても、明日何が起きるのか、誰にも分からないのが人生です。最初の十数年だけを見て「こうだ」と決め付けるのは早急です。今年は無理なことも来年には出来るようになっているのが人の世であり、人生の面白さです。 -
コラム子育て・家育て精神的親殺しとは何か 子供の自立と親子対決 ~河合隼雄の著書【家族関係を考える】より
世の中にこれほど『親死ね』『殺したい』を願う人が存在するのも一驚でしょう。何も知らない人が見れば、誰も彼もが殺意を抱いているのかと恐怖を感じるかもしれません。しかし、こうした人々は本気で親の死を願い、殺す方法を模索しているのでしょうか。その理由について考察することが、親子関係をやり直すきっかけとなり、子供の救いとなります。 -
コラム子育て・家育て子どもの許しはいつ訪れるか ~親殺しと再生について
子どもが真の大人になるためには、内面的な母親殺しや父親殺しをやり遂げねばなりません。それは決して恨みや憎しみではなく、親の定めた規範や価値観を乗り越えることです。内面的な親殺しに失敗すれば、子供は「自分が死ぬか、親を殺すか」という気持ちに追い込まれ、精神的自立に失敗するのです。 -
コラム子育て・家育てその正論に愛はありますか ~正しいだけの親は要らない
絶対的正義の立場に立って物を言えば、誰にも非難されることなく、相手をやり込めることができます。正しい事だけ、こんこんと言い聞かされても、何の救いにもなりません。「思いやりのない正しさは、時に相手を追い詰め、自尊心を著しく傷つけます。 -
コラム子育て・家育て心の問題は、何度でも、何度でも、克服する
心が再び呪いに囚われかけても、自分のことを弱いとか卑怯とか責めてはいけません。長い間、苦しんできたのです。そう簡単に影は追い払えません。それでも歩みを進めれば、だんだん心も強くなります。 -
コラム子育て・家育て『仮面親子』 本当の自分を見せるのが怖い親と本当の自分を見せられない子供
「自然体になれない」「普通が、どういうことか分からない」という親は、本当の自分を見せたら子供に嫌われるという気持ちが人一倍強いのかもしれません。それは裏返せば、自分がそういう親を蔑んで、今も許してないからではないですか? 本物の親子とは何なのでしょう。 -
コラム子育て・家育て毒親に苦しんだあなただからこそ、出来ることがある ~書籍『親の死を願う子供たち』のあとがきより~
乗り越えたと思ったら、また新たな問題が持ち上がり、何度でも、何度でも、どん底に叩き落とされる。その度に、人の倍ほど苦労して、理不尽に感じることもあるかもしれません。親子関係の傷も、一生抱えて生きていくことになるかもしれません。それもまた、あなたの人間的な能力の一部です。 -
コラム子育て・家育て対決を通しての親子関係の安定 ~立派な親の姿を見せるより、正直な人間として子供と向き合おう~
立派な親だから、正しいことを言っているから、尊敬されるわけではありません。愛とはもっと正直なものです。子供は人間である親を理解し、愛したいのです。立派であらねば……という気負いは、かえって子供の心を遠ざけ、負担となってしまいます。本当の自分を恐れずにさらけ出してみませんか。 -
コラム子育て・家育て傷つけ合わない親子関係など無い ~心が寄れば、擦り合うのは当たり前
子どもが親に腹を立てるのも、あなたが子どもの態度に傷つくのも、それだけ心が近い証拠です。誰よりも近く、愛を求める関係だから、思う通りにならなかった時の怒りや失望が大きいのです。見方を変えれば、触れ合う部分があるうちは関係修復のチャンスもあります。本当に冷め切った関係は怒りも失望も感じない、ただの無関心です。