愛と耽美の映画– tag –
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文学・思想・神話肉体の声に耳を傾け、自分に素直に生きる D・H・ロレンスの名作 『チャタレイ夫人の恋人』
自分の肉体のことに気がついた瞬間から、不幸というものが始まるのよ。だから文明というものが何かの役にたつならば、私たちが肉体を忘却することを手伝ってくれるものでなければなりませんわ。猥褻か芸術家で裁判沙汰にまでなったD・H・ロレンスの性愛小説。だが本質はありのままに生きることを謳った人生賛歌である。 -
映画美しい女が老いに直面する時 映画『血の伯爵夫人』 エリザベート・バートリと年下の恋人
若さと美を願うのは、間違いですか? 美貌の伯爵夫人エリザベート・バートリは、21歳の若くてハンサムなイシュトヴァンに恋をしたことから、自分の老いを強く意識するようになる。愛を失うことを恐れた夫人は自らの美貌を永遠に保つことに執心し、乙女たちの生き血を求めるようになる。女性の老いと悲哀を正面から描いた人間ドラマ。 -
映画エセ文化人が美と知性を滅ぼす 映画『コックと泥棒、その妻と愛人』
泥棒のアルバートは一流レストランのオーナーだが、文化などまったく理解しない反知性の俗物でもある。虐げられた妻ジョジーナは読書家のマイケルと恋に落ちるが、アルバートにばれて悲劇が起きる。ジョジーナと料理人が企てた壮絶な復讐と文化の死を解説。 -
映画妄想と執着 オドレイ・トトゥのサイコ恋愛映画 『愛してる、愛してない……』
可憐な美術学生アンジェリクは近所に住む心臓外科医のロイックに恋をする。二人の仲は進展するように見えたが、ロイックには妻子があり、まるで身に覚えのない恋だった。やがてアンジェリクの行動はエスカレートし、ロイックは驚愕の事実を知ることになる。 -
映画恋人の優しさは永遠に クリスマスに観たい恋愛映画 『ゴースト ~ニューヨークの幻』
モリーとサムは幸せな恋人同士だったが、暴漢に襲われ、サムは命を落とす。幽霊になっても天国に行くことを拒み、インチキ霊媒師オダ=メイと組んで、モリーの守護に奔走する。デミ・ムーアの愛らしさとウーピー・ゴールドバーグの見事な演技が見物。 -
映画映画『SHAME -シェイム- (恥)』 愛してはならないものを愛した時
エリート管理職のブランドンは性依存症に苦しみ、朝に夕に性行為に耽っている。そんな彼のアパートに奔放な妹のシシィが転がり込み、ブランドンはいっそう心を乱される。禁断の兄妹愛をテーマに、マイケル・ファスベンダーが心理劇を好演。愛に関するコラムと併せて。 -
映画レプリカントの愛と死 新作『ブレードランナー Origin』
この作品が作られた『1982年』は、東西冷戦下、ロシアではなくソビエト連邦の時代である。 技術面では、インターネットもなければ、携帯電話もない(ガラケーさえ)、ようやく世界初のCDプレイヤーが登場し、TVはリモコンが普及して、「わぁ、すごい、チャンネルを変えるのにコタツから出る必要がないんだ」と喜んでいたようなレベルである。 -
映画WALL-E(ウォーリー)痛烈なる社会風刺と第二の創世記 ~でもロマンティックな傑作~
宇宙コロニーを舞台に、大量消費社会と機械化文明を風刺するロボットアニメの傑作。人々は皆肥大化し、完全自動化された町で、コンピュータに管理され、他人と顔を合わせることもなく、移動マシンに乗って暮らす彼らの姿は未来の人類を思わせる。エヴァを追いかけるウォーリーの行動は町に大混乱を引き起こすが・・ -
映画愛と破滅の旋律 マーロン・ブランドの『ラストタンゴ・イン・パリ』
「君のことは何も知りたくない。どこに住み、どこから来るかも何一つ知りたくない。外の世界は忘れて、この部屋で会うんだ」妻に自殺された中年男のポールと若く美しいジャンヌは古びたアパートで突然欲情し、激しく抱き合う。互いに誰かも知らないまま逢瀬を重ね、情交に耽るが、前途あるジャンヌはポールに嫌気がさし、悲劇へとひた走る。 -
映画男同士の異色愛『エム・バタフライ』 ジョン・ローン 女装の耽美
北京のフランス大使館に赴任したルネ・ガリマールはプッチーニの『蝶々夫人』を歌う主演女優のソン・リリンに一目惚れし、二人は深く愛し合うようになる。だが彼女の正体は中国政府に通じる『女装スパイ』だった。真実を知った時、ルネは破滅に向かう。 -
映画石岡瑛子さん追悼 フランシス・コッポラの映画『ドラキュラ』~不滅の愛を描く~
フランシス・コッポラの描く『ドラキュラ』はホラーを超えた愛の物語である。悪魔と知りながら恋に落ちるミーナ、愛欲に狂いながらも「愛するあなたをこんな苦しみの世界に引き込むことはできない」と吸血することを躊躇うドラキュラ。ゴシックとエロティックが織りなす幻想的な背景に、日本人デザイナー石岡瑛子の卓抜した衣装デザインが花を添える。 -
映画女が妻子持ちの男に遊ばれるということ 不倫のリアルを描く映画『危険な情事』
「私たち、大人じゃない」才色兼備の雑誌編集者アレックスに誘惑され、弁護士のダンは妻子の留守中に肉体関係をもつ。期限が来ると、ダンはいつもの日常に戻ろうとするが、運命の恋と信じたアレックスは執拗にダンを追い回し、ついには妻子の生命も脅かすようになる..。不倫の現実を描いたエイドリアン・ラインの傑作。
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