TAG

日本の小説

  • 2019年8月7日

名も無き善人は天国を目指す

『善行を積めば、あの世にとこしえの幸せが用意されている』というファンタジーは、名も無き善人にとって、最後に残された砦といえる。 現世で栄耀栄華を味わっている人は、あるかどうかも知れない『あの世の幸福』とやらに何の興味も持たないだろうし、それ […]

  • 2019年8月5日

劇画家・池上遼一の妖艶な世界『近代文学名作傑作選』& 耽美傑作集『肌の記憶』

心卑しい天才絵師が、帝から命じられた「地獄変」の屏風絵を完成させるため、「世にも美しい女が火に焼かれて悶え死ぬところが見たい」と申し出たところ、帝の計らいで実現する。だが、絵師の目の前で火にかけられたのは、なんと彼が心から愛する一人娘だった……芥川龍之介をはじめ、山本周五郎、泉鏡花などの名作を官能的に描いた珠玉の短編集。

  • 2019年8月6日

『詩を作るより、田を作れ』 文芸の価値と詩を役立てる心について

詩を作るより、田を作れ 「詩を作るより、田を作れ」という思想は、根本的には政治主義に根ざしたものである。それは「役に立つ」ということを第一義に考えた処世訓であって「詩なんかなくても生きることはできるが、田がなければ生きることはできない。だか […]

  • 2018年6月25日

悪女 VS キャリアウーマン 事件の印象が証言を左右する 松本清張の『疑惑』

一台の車が埠頭から海に突っ込み、鬼塚球磨子は救助されるが、車内に取り残された夫の白河福太郎は死亡する。前科四犯の毒婦の先入観から、球磨子の犯行という前提の元に裁判が進むが、彼女の弁護を引き受けた佐原律子の鋭い推理により、思いがけない事実が明らかになる。桃井かおりと岩下志麻、二大女優が火花を散らす野村芳太郎監督の傑作。

  • 2017年12月23日

本当の『鬼畜』は誰? 松本清張の描く「子捨て」と「子殺し」

愛人と生活費で揉めた宗吉は三人の子どもを押しつけられ、妻・お梅の怒りを買う。途方にくれた宗吉は子どもを捨てることを思い付く。緒形拳、岩下志麻、小川真由美の鬼気迫る演技が胸を打つ野村芳太郎監督の名作。我が子に手をかけた宗吉とお梅も人面獣心の鬼畜かもしれないが、幼い三人の子どもを置き去りにした愛人・菊代はどうなのか。松本清張の小説の抜粋も掲載。

  • 2019年3月15日

宮沢賢治『銀河鉄道の夜』と蠍の火 ~まことのみんなの幸のために

「どうしてわたしはわたしのからだを、だまっていたちにくれてやらなかったろう。そしたらいたちも一日生きのびたろうに。どうか神さま。私の心をごらんください、こんなにむなしく命をすてず、どうかこの次には、まことのみんなの幸のために私のからだをおつかいください」蠍の想いは燃えるような赤い星に昇華する。優しさと気高さがぎゅっと凝縮されたような名場面。

  • 2019年8月5日

側溝男と江戸川乱歩の『人間椅子』

道端の側溝に何時間も潜み、女性の下着を覗き見ようとした側溝男のニュースを聞いて、江戸川乱歩の『人間椅子』を想起したのは私だけではありますまい。 恐らく、本物のフェチズムに精通している方から見れば、側溝男と人間椅子もまた微妙に違うんだよ、とい […]