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ふしあわせという名の猫がいる ~寺山修司の名詩選

寺山修司の詩集より、お気に入りの詩を紹介しています。
コメントは管理人のものです。

本記事の内容
  • ふしあわせという名の猫がいる
  • ほんとに愛しはじめたときにだけ 淋しさが訪れる『ダイヤモンド』
  • 『マッチ擦るつかのま海に霧ふかし』 煙草の銘柄は?
  • もしも 思い出をかためて 一つの石にすることが出来るならば 『ガーネット』
  • この大切ななみだを だいじにとっておきたい 『真珠』
  • 存在するだけで愛される猫
  • ふしあわせという名の猫がいる
    ふしあわせという名の猫がいる

    いつもわたしにぴったりよりそっている

    ロング・グッドバイ 寺山修司詩歌選 (講談社文芸文庫)

    でも その猫は気まぐれなので

    突然 どこかに行ったりします

    そして ふらりと帰って来た時には

    しあわせ という名の 大きな魚を

    口にくわえていたりします

    しあわせ ふしあわせ

    どちらも わたしの かけがえのない友達

    同じ顔をした

    気まぐれな影

  • ほんとに愛しはじめたときにだけ 淋しさが訪れる『ダイヤモンド』
    木という字を一つ書きました

    一本じゃかわいそうだから

    と思ってもう一本ならべると

    林という字になりました

    淋しいという字をじっと見ていると

    二本の木が

    なぜ涙ぐんでいるのか

    よくわかる

    ほんとに愛しはじめたときにだけ

    淋しさが訪れるのです

    寺山修司少女詩集 (角川文庫)

    多くの場合、『淋しさ』という言葉は、退屈や、無視された怒りや、自我が通らぬもどかしさを表す言葉として使われる。

    何もすることがなくて、淋しい。

    誰にも相手にされなくて、淋しい。

    分かってもらえなくて、淋しい。

    自分が何ものでもないような気がして、淋しい。

    それも淋しさに違いないが、愛を知った人の淋しさは、わかり合えない辛さや愛されない空しさとは異なる。

    想っても、想っても、二人が永久に一つになることはない。

    そんな限界の淋しさだ。

    私があなたで、あなたが私なら、もう何も苦しむことなどないのに。

    想うほどに、独りを感じて、泣けてくる。

    そういう切ない涙の話だと想う。

    恋と恋の狭間に

    淋しい

     寺山修司少女詩集 (角川文庫) (文庫)
     著者  寺山 修司 (著)
     定価  ¥704
     中古 42点 & 新品  ¥32 から
  • 『マッチ擦るつかのま海に霧ふかし』 煙草の銘柄は?
    マッチ擦る つかのま海に 霧ふかし 身捨つるほどの 祖国はありや

    有名な寺山修司の短歌だが、なぜ私はこの時、作者が煙草を吸い、その銘柄は何だったのかと考えるのだろう。

    ピース? ハイライト? まさかチェリーということはないだろう。

    そして、その海が、なぜ青森だと思うのだろう。

    しかも、時間は『夜』で、テトラポッドのある海岸だと。

    ちなみに、有名な著述家にして、思想家でもある某氏が、『身捨つるほどの 祖国はありや』などという若者は信用できない、みたいな事を言っていたが、どうして『祖国』は祖国だと鵜呑みにするのだろう。

    たまたま、そこに『そこく』がはまったから、そのような句に喩えただけで、実家であり、故郷であり、生まれついた定めであり、自分を縛る世間であり、いろんなニュアンスがあるはずなのだけど。

    ところで、擦ったマッチと吸い殻は、どこにいったのか。

    私にはポイ捨てできずに、コートのポケットに忍ばせて持ち帰った、寺山修司の姿が浮かぶ。

  • もしも 思い出をかためて 一つの石にすることが出来るならば 『ガーネット』
    ガーネット

    もしも 思い出をかためて
    一つの石にすることが出来るならば
    あの日二人で眺めた夕焼の空を
    石にしてしまいたい と
    女は手紙に書きました

    その返事に 恋人が送ってよこしたのは
    ガーネットの指輪でした

    あかい小さなガーネットの指輪を 見つめていると
    二人はいつでも
    婚約した日のことを思い出すのです

    寺山修司少女詩集 (角川文庫)

  • この大切ななみだを だいじにとっておきたい 『真珠』
    もしも あたしがおとなになって
    けっこんして こどもをうむようになったら
    お月さまをみて
    ひとりでになみだをながすことも
    なくなるだろう と
    さかなの女の子はおもいました

    だからこの大切ななみだを
    海のみずとまじりあわないように
    だいじにとっておきたい と
    貝のなかにしまいました

    そして さかなの女の子はおとなになって
    そのことを忘れてしまいました

    でも 真珠はいつまでも 貝のなかで
    女の子がむかえにきてくれるのを
    まっていたのです

    さかなの女の子 それは だれだ?

    寺山修司少女詩集 (角川文庫)

    真珠 waterbaby

  • 存在するだけで愛される猫

    愛について悩むなど不毛で愚かしいことだ。(主に愛されない病)

    うちの飼い猫なんて、私に何もしてくれないけど、存在するだけで愛されている。

    ご飯を食べる時だけ私の所にやって来て、ご飯を食べた時だけゴロゴロ、スリスリする、ジゴロみたいな存在だけど。

    しかし、猫には猫の気遣いがあって、私が台所で忙しくしている時はニャー(窓を開けてよ)と鳴かない。

    私が一段落するまで窓の前で待っている(これほんと)。

    それでもどうしても外に出たい時だけニャーと鳴き、それ以外はひたすら待っている。

    どうやら猫にも思いやりがあるらしい。

    そんな風に、存在するだけで愛される猫もいる。

    人間も、多分、同じ。

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