宇宙の果てからコニャニャチハ The Rah Band

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【音楽コラム】 The Rah Bandの宇宙的魅力

21世紀の終わりか、22世紀。

恋人や配偶者が当たり前のように宇宙植民地に出張する時代になれば、遠距離恋愛も夫婦生活もずいぶんハードルが高くなると思う。

「火星に単身赴任? 冗談じゃないわよぉ? 結婚はどうなるの? あたしのキャリアは?!」

「えっ、火星に出張? いつ帰ってくるの? 片道だけで、10年? 子供はどうすんのよっ!!」

子育てや恋愛しながら、宇宙開発なんて、絶対に無理だね。

というか、家族そろって、月面や火星に宇宙赴任するしかない。

奥さんと子供が同意してくれたらいいが、そうでなければ、離婚 → 家庭崩壊だにゃ。

水も酸素もない、ましてパンパースもない月面基地に、だーれが幼子連れて、一緒に赴任するんだよ?

まして、二度と戻れなさそうな、火星とか

*

恋人たちは、別れるか、見送るかの、二つに一つ。

「仕事が終わるまでの辛抱さ。プロジェクトを終えて、二年経ったら、帰ってくるから」なんて絶対に有り得ない。

彼氏の火星行きが決まったら、その時点で、別れるしかない。

彼氏が火星でのミッションを終えて、帰って来るのを待っていたら、冗談抜きで、おばあちゃんになっちゃう。

未来の宇宙飛行士も大変だねぇ。

おちおち恋愛もできないぞ。

それでも行くか?

Yes, Of Course.

同乗する女性宇宙飛行士が、自分の好みであれば。。。。

NASAが全面バックアップの ミッション to マリッジ。

それはそれで楽しそうだが、火星行きの宇宙船の中で子供が生まれたらどーすんの?

ミルクはともかく、パンパースは必須だよぉ。

布おむつでも、ベビー用の洗剤必須だし。

というより、宇宙船の中で、布おむつが干せるのか?

やっぱ、無理だろ、ミッション to マリッジ 

*

かくして、置いてけぼりをくらったパートナーは、毎晩、輝く月夜を恨みの眼差しで見上げながら、「やっぱり付いて行けばよかった」とほぞを噛むのだ。

あんないい男と出会うのは、一生に一度きり。

妥協して、地上で代わり映えのない日々を過ごすよりは、多少、苦労してでも、アイツと宇宙船の中で無重力○○でも楽しんだ方がよかったんじゃないか、と。

*

そんなシチュエーションの中、宇宙の果てから、久々に恋人から電話を受け取った模様を歌っているのがThe Rah Bandの『Clouds Across the Moon』。

歌詞はまったく違うが、そんな雰囲気。

『Clouds Across the Moon』というヒット曲も、The Rah Bandというバンドも、知っている人の方が少数だろう。

私もSpotifyを通して、つい最近知った。

Googleで調べてみたけれど、日本語の情報もほとんど見つからない。

唯一、松竹剛さんのブログに詳しい解説が上がっていた。

まつたけ氏曰く、

The RAH Bandはストリングスのアレンジャーとして60年代から活躍するRichard Anthony Hewsonというイギリス人の一人バンド。RAHは名前の頭文字です。アレンジャーとしての仕事で一番有名なのはビートルズのアルバム「Let It Be」で、「The Long and Winding Road」「I Me Mine」「Across the Universe」が彼の手によるものです。他にもJigsaw「Sky High」なんかも彼の仕事です。

ジグソーの「Sky High」! 何と懐かしい。

シンフォニック、かつドラマティックな曲調で、一世を風靡した70年代の代表的なヒット曲です。

あれを手がけた人なら、これほど美しく個性的なメロディが書けるのも納得。

The Rah Band も宇宙的な広がりのあるテクノポップではあるけれど、旋律の美しさとアレンジメントの密度においては一線を画しています。

だから、何度聴いても飽きない。

たとえるなら、宇宙神がジュークボックスに乗って降臨した感じ。

サウンドは機械的だが、旋律や和音の一つ一つが丁寧に作られ、BGMとして聞き流すには余りにもったいない曲ばかりです。

アルバム『Something About the Music』のジャケット。
このヘッドホンした宇宙人みたいなのがカワイイ

the-rah-band

【楽曲紹介】 Spotifyで聴く

まず代表的な『Clouds Across The Moon』。

恋人同士のスイートなやり取りと、遠い昔の黒電話を思わせる演出が素敵。

カヴァーした日本人歌手もいるようですが、なるほど、サビが80年代の歌謡曲っぽいです。

これを聞いていると、宇宙赴任も悪くないな……というか、恋人同士は離れている時が一番楽しいんじゃないかと思ったりもします。

私の好きな曲『Rock Me Down to Rio』。

リオのカーニバルを思わせるブラジリアンなノリが「音楽に理屈はいらない。楽しければ、それでいい」という事を思い起こさせる。

さびの「ロック・ミィ・ダウン り~お」の部分がたとえようもなく脳天気で嬉しい。

Shadow of your Love

80年代、こういうノリのヒット曲がたくさんありました。

一度聞いたら忘れられない主旋律に、繰り返されるサビ。

The Rah Bandの魅力は、メロディとメロディの追いかけっこみたいなアレンジメントにあります。

音の重層感とでもいうのですか。

合いの手となる裏の旋律も丁寧に作り込まれていて、さながらテクノの交響曲のようです。

女性ヴォーカルも透明感があって、とってもキュート。

Performed Garden

いきなり「カム・ウィズ・ミィ~」で始まるメロディが素敵。これもStrings入りとか、Asid風Remixとか、いろんなバージョンがあるけど、やはり、このオーソドックスなサウンドが一番好き。

一世紀、二世紀後の若者はどんな音楽を聴いているのかしれないけど、こういうのはマニアからマニアに口コミで受け継がれ、ずっと残るんじゃないかな。

【音楽コラム】 音楽にもシナリオは必要

思うに、The Rah Band の楽曲にはストーリーがあるんですね。

クラシックの交響曲みたいに、一つの曲の中に「起承転結」があって、「はい、これがサビ。これが掴み」と、よく練られたシナリオが見える。

淡々と流れ、淡々と終わる、あまたのヒット曲と異なり、「さあ、ここで盛り上がりますよ。皆さん、用意はいいですか」というシナリオに添って曲が展開するので、聞く側も安心します。

以前、ゴーストライターの交響曲の設計書うんぬんという話があったけれど、実際、曲作りにもシナリオが存在するんだろう、というのは何となく分かります。

では、その核になっているのは何かと問われれば、やはり基礎的な知識と音楽のセンスでしょう。

鼻歌なら誰でも作れるけれど、レイヤーのある楽曲を作るには、曲の設計図がマッスとして浮かぶ、というのが重要な気がします。

私のSpotifyリストです。興味のある方は、是非。

Amazonミュージックで聴く

Amazonで一曲からダウンロードできます。興味のある方はどうぞ。

Clouds Across The Moon by 
 定価  ¥150
 中古 1点 & 新品  ¥150 から

アルバムもたくさんあるのですが、私の一押しは上記ジャケット写真の『Something about the music』。こちらはMP3のバラ売りで、アルバムとしては売ってないみたいです。

上記のShadow of Your Loveなど、ヴォーカル主体の楽曲が収録されています。

初稿 2016年7月27日

この記事を書いた人

石田 朋子のアバター 石田 朋子 サイト管理人

作家・文芸愛好家。80年代サブカルチャーの大ファン。普段はぼーっとしたおかあさんです。昭和の名作漫画はほとんど空で台詞が言えるほどの元祖ヲタ。車と猫が大好きな東欧在住。サイトでは作品紹介ではなく、作品を題材とした文芸コラムを掲載しています。

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