「時は金なり」「貧乏ヒマなし」人生とは時間そのもの 映画『TIME/タイム』

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映画『TIME』が示唆する、時間こそ生命

科学技術の進歩によって、人間の生体は25歳で成長を止めることが可能になった。

しかし、25歳を過ぎると、与えられる時間は「1年」限り。大半の人間はあくせく働き、通貨の代わりに「時間」を稼がなければならない。

一方、裕福な「時間もち」は、100年も200年も若い姿のまま生き長らえ、死とは無縁の人生を送っている。

文字通り『時は金なり』の世界観をリアルに描き出したのが、近未来SF映画「タイム / TIME」(原題は In Time)だ。

セクシーなパフォーマンスで世界中を魅了するジャスティン・ティンバーレークが主役を務め、映画『インセプション』でアイデアを植え付けられる御曹司をク
ールに演じたキリアン・マーフィーや、映画『マンマミーア』でキュートなヒロインを演じたアマンダ・セイフライドが脇を固めている。

ハリウッドのSFアクション大作を見慣れている人には、映画全体に漂うB級っぽさに物足りなさを感じるかもしれないが、与えられた時間の中からバス代を支払い(乗車一回、2時間分・・この数値はどうやって算出したのか?)、高級車を買い(一台、59年分)、貨幣の代わりに持ち時間をやり取りするユニークな設定には目を見張るものがある。

また、貧しいスラム街から富裕層の町にやって来て、優雅なランチを楽しむ主人公のウィルに、美人ウェイトレスが「あなたは外から来たでしょう?」と尋ねられ、「どうして分かる?」「だって、動きが忙しいもの」と答える場面も洒落が効いている。

映画としては、ドラマ重視なのか、アクションを見せたいのか、どちらも中途半端な印象があり、「もう少し、テーマを掘り下げてもよかったのではないか」という感が否めないが、 「時は金なり」の世界観は上手に描けており、一見の価値はある。

日本語吹き替えに関しては、『マリコさま』が救いようがないほど下手くそで、剛力彩芽か、米倉涼子かというくらい、洋画クラッシャーなのだが、これだけ洋画ファンに恨まれたら、もう二度と吹替の仕事は回ってこないだろう。その意味でも、価値のある作品である。

【映画コラム】 時は金なり

そう、まさに『時は金なり』なのである。

美人だろうが、天才だろうが、命の時間が尽きれば、それで終わりだ。

ああ、もう一度と願っても、人生は二度と返らない。

人は若い時、美貌や才能を望むけども、本当に大事を成したいなら、必要なのは、健康な肉体と寿命だ。

ひ弱な身体では徹夜も出来ないし、集中力も持続しないからである。

映画『TIME』における、「若さと健康を保障された、時間持ちこそ富裕層」という設定は、まったくその通りで、現実社会の全てを物語っている。

一般に富裕層といえば、「お金をたくさん持っている人」というイメージがあるが、お金とは即ち、時間そのもので、貧しい労働者との決定的な違いは何かといえば、日銭を稼ぐ為にあくせく働く必要がない、という点である。

彼等は、1万円、2万円を得る為に、自分の時間を差し出し、通勤や重労働で肉体を酷使する必要がない。

眠っている間にも、利子や不労所得で財産は膨らみ、寝る間も惜しんで働かなければ、明日食べる物もない底辺の労働者とは大違いである。

映画『TIME』では、タイムアウトで寿命の尽きた人々の亡骸が方々に転がっているが、人が肉体を酷使できるのも、せいぜい40代ぐらいまでで、そこから先は運と蓄えという現実を思うと、なかなか示唆に富んでいる。

なぜなら、底辺の人間にとっては、労働に時間を差し出すこと=生きることだからである。

*

そんな過酷な世界で、「100年」もの持ち時間を得たウィルは、命をかけて富裕層の町ニューグリニッジへと乗り込む(グリニッジ時刻のもじりかと)

その100年を与えたのは、老いることもなく死ぬこともない人生に絶望しきった富裕層の男だった。

追ってから逃れる男と、古びた建物で一夜を過ごしたウィルが目覚めた時、窓に書かれていた言葉は「Don't waste my time

僕があげた時間を無駄にするな、という意味だ。

それは映画の世界でなくても同じこと。

人生とは、まさに『時間』。

前向きに生きる人には、お金に換算できないほどの価値がある。

金持ちも、貧乏人も、与えられた時間は「一日24時間」、そこだけは、みな平等だ。

ただ現実社会を生きる為の対価となるものが『貨幣』というだけで、時計の上では、腕に持ち時間が刻まれた映画のスラムの住人と変わりない。

その限られた時間を、どう費やすか。

人生の価値は、ただただ、その一点に尽きる。

あり余る時間とお金を放蕩に費やすのも、本人の自由なら、限られた時間を勉強や余暇に費やすのも、本人の自由である。

同じ一時間でも、TVやスマホを見ながら、だらだら消費する人と、本を読んだり、友人と有意義に過ごす人では、時間の価値に雲泥の差があり、その差は人生の質に値する。

もちろん、あくせく働く必要のない富裕層に比べたら、貧乏人の時間の使い方は限られるかもしれないが、それでも、日々の十分、二十分を、どう過ごすかで、人生の価値は大きく違ってくるのではないだろうか。

格差といえば、一般に衣食住の差異を指すが、本質的には「人生に対する心の余裕」を意味する。

何故なら、着るにも食べるにも困らない、裕福な暮らしの中で、自分の好きなことだけして生きていければ、誰だって楽しいからだ。

それとは対照的に、生きていく為に、やりたくもない仕事に従事し、遊ぶ時間もなければ、寝る時間もない、頑張ったところで、せいぜい月に一度、焼き肉を食べる程度の暮らしであれば、誰だって不幸に感じる。

いわば、人生の限られた時間を何に使うかで、人生の質も決まってしまい、お金があればあるほど、幸福に感じるのは、生存の為だけに貴重な時間を費やす必要が無いからである。彼等はお金で衣類や食べ物を買っているのではなく、時間を稼いでいるのだ。

現代社会における不幸や不公平感は、悦びとか、余裕とか、心に感じる格差であり、「働いて、稼がねば」と考える時点で、すでに多くのものを損失していると言える。

逆に言えば、富裕層ほど自由な時間に恵まれなくても、どんな人も、日常の隙間時間を有意義に費やすことはできる。

どう頑張っても、物質的には上限が見えているなら、せめて自由になる時間を建設的に活かした方が得策ではないか。

金、金、金、と、ただもう、お金を得る為だけに貴重な時間を費やせば、目当ての物は手に入るかもしれないが、果たしてそれが心を幸福にしてくれるかといえば、まったく別問題で、金儲けに時間を費やすことは、金儲けに人生を費やすことに他ならないからである。

「時間」という人生最大の財産。

あなたは本当に心の幸福の為に、時間を有意義に使っているだろうか。

あれこれ言い訳しながら、時間を無駄に浪費してないか?

映画『TIME』は、一見、アクション映画に見えて、人生の根源を問いかける、非常にユニークな作品である。

だからこそ、時間に追われる人間の葛藤、逆に、時間はたっぷりあるけれど、どこか満たされない人間の虚しさを、もっと掘り下げて描いて欲しかった。

前半が非常にテンポがよかっただけに、後半の捻りがいまいち物足りなかった私です。

ついでに悲惨なマリコさまの吹替と^^; ほんまに萎えるレベルです。

TIME/タイム [DVD]
出演者  ジャスティン・ティンバーレイク (出演), アマンダ・セイフライド (出演), アレックス・ペティファー (出演), キリアン・マーフィ (出演), オリヴィア・ワイルド (出演), マット・ボマー (出演), アンドリュー・ニコル (監督)
監督  
定価  ¥1,600
中古 55点 & 新品  ¥1 から

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ジャスティン・ティンバーレークの魅力

私がジャスティン・ティンバーレイクを知ったのは2006年。
世界中で大ヒットした「セクシー・バック」のMTVがきっかけです。
最初はよくあるクラブ系のアーティストだと思っていたら、次々にリリースされる楽曲の個性に目が釘付け。
とりわけ素晴らしいのが、官能的な美人女優スカーレット・ヨハンソンを相手役に迎え、昔のヨーロッパ映画風の演出で注目された「ワッツ・ゴー・アラウンド」。歌声もセクシーならメロディも綺麗。これは本当におすすめの曲です♪

モノトーンの演出が美しい『Let Me Talk To You/My Love』。
最初はクラブ風のサウンドで始まりますが、途中でメロディアスなバラードになります。
一糸乱れぬバックダンサーの踊りと、ジャスティンのパフォーマンスが素晴らしい。

世界中で大ヒットした「セクシーバック」。スパイ・アクション風の演出とスリリングな男女の絡みが秀逸。
こういうキャリアがあるから、「タイム/TIME」の主役にも抜擢されたんでしょうなあ。
今後が楽しみなアーティストです。

マドンナと共演した『4 minits』もノリのいい曲です。
この時、マドンナ50歳。奇跡のような肉体です。

若きスーパースター、ジャスティン・ティバーレイクが、約1年をかけてレコーディングした待望のセカンド・アルバム。2004 年グラミー賞2 部門(最優秀男性ポップ・ボーカル・パフォーマンス、最優秀ポップ・ボーカル・アルバム)、2003 年MTV ビデオ・ミュージック・アワード3 部門、2003 年アメリカン・ミュージック・アワードなど数多くの賞を受賞。

上記で紹介した「セクシーバック」「ワット・ゴーズ・アラウンド...~...カムズ・アラウンド」「マイラブ」などが収録。
ジャスティンの魅力がぎゅっと詰まった一枚です。
ジャスティンは曲にも恵まれてるのね。どれも個性的です。

初稿 2012年1月12日

この記事を書いた人

石田 朋子のアバター 石田 朋子 サイト管理人

作家・文芸愛好家。80年代サブカルチャーの大ファン。普段はぼーっとしたおかあさんです。昭和の名作漫画はほとんど空で台詞が言えるほどの元祖ヲタ。車と猫が大好きな東欧在住。サイトでは作品紹介ではなく、作品を題材とした文芸コラムを掲載しています。

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