IGOR タイラー・ザ・クリエイター

金髪キノコ タイラー・ザ・クリエイターと80年代の狭間 ~ダンス重視の音楽市場

IGOR タイラー・ザ・クリエイター

うちの息子も「きかんしゃトーマス」を卒業して、どれくらいの歳月が経つだろう。

その頃の思い出を綴った記事はこちら → 

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きかんしゃトーマス

昔は、カーステレオで、「げんこつやまの、たぬきサーン」を流していたら大満足だったが、いつの頃からか、マイケル・ジャクソンやクイーンに興味を示し、最近では、私の大嫌いなクラブミュージックばかり好んで聴くようになった。

この野郎。

母は、クラシックやジャズをこよなく愛する、上級音楽国民なのに、息子のお前はなんであばずれみたいな、ラップだの、アングラ系ばかり聴くんだろう。

朝から、Googleスピーカーで、がんがん流しやがって、歌詞中で「Fu○k」を連発する楽曲は嫌いだと言うとるやろが11

コロナ騒動+外出禁止中の今は、いかにあの騒々しい音楽を止めさせるかで腐心する毎日。

中でも、一番うっとぉしいのが、タイラー・ザ・クリエイター。

歌詞も全部、覚えてるらしくて、母の禅空間の隣で、大音量でタイラーをかけるな!! 

と、何度、口論したか分かりません。

もう、うるさいんだよ、とにかく!!

そんな中、タイラーのニューアルバム『IGOR』が2020年のグラミー賞を受賞したとかで、その時のパフォーマンスをホームシアターで大音量で流しやがってよ。

あたし、こんな金髪キノコみたいなの、イヤだ~。

歌う時に首振るやつとか、手足がマッチみたいに細いのとか、 ルパン三世がコケシ化したミュージシャンはダメなんだって。(ズボンの裾が異様に短いのは今時のお洒落?)

こんなのがグラミー賞って、お母さん、もう時代の流れに付いていけません。

同じヤンチャでも、スティング(ザ・ポリス)の『シンクロニシティ』がグラミー賞をとった80年代の方がよかった。

こっちの方が、よっぽどメロディアスやないか。

そう思ってたんですね、ずっと……。

しかし、グラミー賞のパフォーマンスがよほど心に残ったのか、私も、改めて、金髪キノコの歌を聴いてみることにしたんですよ。

まずは、『NEW MAGIC WIND』から。

んん・・なかなか、興味深い。

え・・これって、山下達郎??

Thank you for Love ・・

これはリズムのアレンジがいいですね。

全部通して聴いてみたら、あ、結構いいじゃない。

で、最近、私も毎日のように聴いてます。

どの曲もユニークで、バランスがいいですよね。

ジャケットの写真は好かんけど。

それで、とうとう、先日、息子に言いました。

「君、なかなか趣味がいいね」

タイラーに関しては、お母さんの負けです <(_ _)>

メロディアスから脱メロディへ

私は元々、クラシック畑の人間なので、メロディが没個性なものは好きじゃないんですよ。

どんな音楽にもメロディはありますけど、「初めにメロディがありき(どうしても聴かせたいメロディがある)」と、「特にこだわりの感じられないメロディ(リズムに取って付けたような感じ)」では雲泥の差があって、最近の楽曲は、どちらかといえば、後者が圧倒多数という気がするのですよ。≪どうしても聴かせたいメロディ“というのは、クイーンの『We will Rock You』や、ホイットニー・ヒューストンの『I will always love you』みたいに、皆が口ずさむような曲です≫

とにかく、ミックスしまくって(音源重ねて)、誤魔化すというか。

恐らく、2000年以降は、『ダンスもセット』が標準だから、どうしてもリズム重視の楽曲にならざるを得ないのだと思います。

エルトン・ジョンやビリー・ジョエルのように、弾き語りで引き付けられるミュージシャンも限られていて、今は「踊れないと売れない」。

だから、音楽にも、ロマンティックなメロディより、インパクトのあるビートが求められるのでしょう。

そして、私のようにクラシックなファンと、やかまし系の若い世代の間で、ギャップが生じるのかもしれません。

もっとも、私だって、自分の親世代が「美空ひばりは素晴らしい」「フランク永井の歌は最高」と感動しても、私にはいまいちその凄さが理解できませんでしたから、それと同じでしょうね。

それでも、21世紀生まれの息子が、タイラーの合間に80年代のヒット曲を聴いたり、ひそかにクイーンのプレイリストを作ってたりすると嬉しいし。

真に魅力のあるものは世代を超えて人の心に訴えかけるということでしょう。

YouTubeでも、若い子が中森明菜や荻野目洋子のアイドル歌唱を楽しんでますしね。

私みたいにクラシック畑+オタク系の人間より、ライトなリスナーの方がはるかに敏感で、柔軟性があるのかもしれません。

それにしても、近年は、エルトン・ジョンやビリー・ジョエルがやってたような、歌唱とアコースティックな楽器だけで勝負するヒット曲は本当に少なくなったように感じます。

金髪キノコの『IGOR』も悪くはないけど、そのベースに山下達郎があるのかと思うと、手放しには喜べないですよね。

何故って、長い間、リスナーからも、ミュージシャンからも忘れ去られていたメロディ原理主義時代の面影を感じるから。

あ、でも、『IGOR』は聴き応えのあるアルバムですよ。

一つ一つ楽曲の調子が違って、丁寧に作り込まれていると思います☆  

ジャケットはキモいけど^^;

Igor by 
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余談ですが・・

日々、息子と論争して、私もつくづく思うんですよ。

私の親世代が「美空ひばりは素晴らしい」「フランク永井の歌は最高」と

シンガーソングライターの小椋佳は定年まで銀行員を勤め上げた。
人の心に触れる曲を作るには、人間社会との関わりが不可欠であることを知っていたからだ。
売れっ子でも、だんだん作品がつまらなくなるのは、内輪の世界に閉じてしまうから。
パートやボランティアや結婚生活等で人間社会の勉強を続けているアーティストは長続きする。

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海洋小説『曙光』MORGENROOD

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