“私には、私の愛を糧にして生きてくれる人が必要だった。
貪りもせず、無駄にもせず、その全てを自分の血と肉にしてくれる人が。
どんな人間にも、魂に空白がある。
プラトン風に言えば、人は自分の魂の片割れを求めて彷徨っているわけだが、その空白に気付かなければ、片割れにも出会いようがない。
言い換えれば、自分の魂の空白に気付くことから幸福が始まるわけだ。
ところが、幾多の人が、その空白に気付きもしなければ認めもせず、無駄な回り道ばかりして人生を虚しくしている。
空白を意識するのが怖いからだ。
人間は自分の弱さや欠けを直視しないかぎり、決して幸せにはなれない。
幸せになるということは、その前に、非常に痛みを伴うものなのかもしれない。
初稿:2002年5月1日