ヴォイチェフ・キラール ドラキュラ

ヴォイチェフ・キラールの『ドラキュラ組曲』(フランシス・コッポラの映画)

ヴォイチェフ・キラール ドラキュラ

今なお根強い人気を誇るフランシス・コッポラの映画『ドラキュラ』(詳細はこちら→石岡瑛子さん追悼 フランシス・コッポラの映画『ドラキュラ』~不滅の愛を描く~)。

この映画音楽も非常にドラマティックで、特にミナとドラキュラ伯爵の愛のテーマは白眉のもの。

作曲者は、ポーランド出身の『ヴォイチェフ・キラール』。

サウンドトラックとは別に『ドラキュラ組曲』が存在します。

地元の交響楽団のプログラムにも取り入れられています。

こちらは別の楽団の演奏ですが、コンサートホールで聴くと、グランドピアノや弦楽器が足元から響き渡るよう。


こちらが深く印象に残る愛のテーマ。

コッポラの『ドラキュラ』が成功した理由は、悪鬼で知られるドラキュラを「一人の男」──心ならずも神の教えに背き(妻の自殺によって)、愛に飢えて彷徨う、誇り高い貴族として描いている点でしょう。

ドラキュラにおける『血』とは『愛』。

孤独、寂寥、悲哀、絶望、嫉妬を「血への渇き」に喩え、悪鬼ドラキュラに人間の心のどうしようもない性(さが)を重ねた点に、儚くも美しいドラマがあったように思います。

ラスト、短剣で胸を貫かれたドラキュラが聖堂の天蓋を見上げ「神は何処に……」と救いを求める場面が非常に印象的でした。

そして、「あなたと血を分かち合い、あなたと同じものになる」というミナの願いも、まさに真実の愛。

撮影現場ではドラキュラを演じたゲイリー・オールドマンと、ミナを演じたウィノナ・ライダー(この頃が最高に美しかった)の仲が最悪だったという話もありますが、そんなことを微塵も感じさせないほど、官能的で、耽美の極みです。


一応、Spotifyのリンクも掲載。(日本で聴けるかしら?)

愛のテーマ =「Mina / Elizabeth」です。

日本のAmazonではMP3で取り扱っています。興味のある方はどうぞ。

Kilar: Bram Stoker's Dracula / Death and the Maiden / King of the Last Days
by Antoni Wit (MP3 ダウンロード)
定価  ¥ 1,500
中古 1点 & 新品  ¥ 1,500 から
 (0 件のカスタマーレビュー)

Tags:

クラシック音楽の関連記事

抗議の白鳥 アルゼンチンのバレエ団

商業的にも成功を収めた一流のアーティストを除いて、あまたのダンサーや詩人や画家が、現代の生産活動に著しく貢献しないとしても、人間が生産的である為には、心に潤いが必要だ。どんな健康な人も、朝から晩まで工場で働いて、テレビも見ない、マンガも読まない、白いカーテンとコンクリートしかない部屋に年中閉ざされて暮らせば、心が死んでしまうだろう。

バレエ

愛なき評論はアーティストを殺す。誰もが気軽に作品の意見や感想を述べられる時代だからこそ、いっそう深く静かに作品と向かい合う姿勢が大切というコラムです。プロの舞台批評に大事なポイントが述べられています。

アレクシス・ワイセンベルク ラフマニノフ ピアノソナタ

「速い」「うるさい」と酷評されるワイセンベルクの演奏をYouTubeで紹介。アシュケナージやホロヴィッツとは異なる、透明感あふれる第二楽章に注目。日本では廃盤になって久しいが、マニアには今なお愛される豪奢かつロマンチシズムあふれる演奏だ。ワイセンベルクの魅力を全力で語るページ。